電気グルーヴ、aiko×井口理……オールナイトニッポン55周年番組を振り返る 昭和から令和までを繋ぐラジオという存在

タモリ&星野源の歌詞談義、aiko&井口理が「あの頃」を妙に懐かしんだワケ

 18日15時放送『タモリのオールナイトニッポン』では、タモリとゲストの星野源による濃い音楽談義が繰り広げられた。星野の代表曲「恋」の歌詞について、タモリが「〈一人を超えてゆけ〉っていうあの歌詞がすごい」と絶賛したことをきっかけに、星野が「モノに恋してる人もいるし、自分に恋しちゃっている人もいる。まずはその〈夫婦を超えてゆけ〉っていう言葉を思いついて。最終的に夫婦(になる)ってみんなは思っているけど、その先があって。そこがゴールじゃなくて」「(ゴールは)二人っていうのも超えていくことにあるから。でもそもそもなんで複数人じゃないといけないのかと思って。じゃあ〈一人を超えてゆけ〉で終わろうと思ったんです」と解説。そうするとタモリは「(最初は)ラブソングだと思って聴いていて。最後〈一人を超えてゆけ〉って聴いたとき、『違うなこれは、すごいな』と思った」と驚いたことを口にした。古くからいろんな音楽と接してきたタモリでも、近年のヒットソングから新しい価値観を発見したというのだ。これもまた「恋愛」という側面から、人間や社会のあり方はますます多様になっていることをあらためて考えさせられる話だった。音楽、芸、コメントなどを通して時事を表現してきた、タモリ、星野らしい番組内容と言える。

 19日21時放送『aikoと井口理のオールナイトニッポン』は、aikoの人気曲「カブトムシ」のデュエットが脚光を浴びたが、「各時代の物事を分断して考えるのではなく、地続きとして見る」という意味では総体的な内容だった。aiko、井口は『オールナイトニッポン』レギュラー時代について、「あの頃の自分は、今にない自分を持っている気がして。フレッシュさを持っている」と言いながら、「あの(頃の)おかげで、と思う」「今の自分を作っているから」と回想。1999年~2003年に担当していたaikoはともかく、井口がパーソナリティを務め始めたのは約4年前。そして終了したのが2020年3月。10年、20年も前であれば「あの頃」というのもうなずけるが、3、4年ほど前のことである。それほど時間が経っていないのに妙に過去を懐かしむのはやはり、新型コロナが流行する前年に番組がスタートし、そして日本でも広がり始めた時期に番組が終わったからではないか。それからミュージシャンはライブが思うようにできないほか、さまざまな活動スタイルの変更が強いられた。たった3年なのに色々なことがありすぎた。だからこそ「あの頃」のトークが弾んだようにも思える。

 4番組はいずれも、過去と現在が連なっていることを伝えるようなものだった。『オールナイトニッポン』らしい、昭和、平成、令和の振り返りだったのではないだろうか。

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