Creepy Nuts、なぜラジオスターに? 菅田将暉やリスナーを魅了し続ける、絶妙な掛け合いと親密さ

 Creepy Nutsがラジオパーソナリティとして飛躍を続けている。

 2018年4月から4年間『オールナイトニッポン0(ZERO)』(以下『ANN0』)の火曜パーソナリティを務め、この4月からは 『オールナイトニッポン』(以下『ANN』)1部への昇格が決まっているCreepy Nuts。2人がラジオで活躍し続けているのには彼らならではの理由がある。

 ラジオでのCreepy Nutsの魅力を語る上で、2人のキャラクターのバランスの良さは欠かせない。DJ松永の歯に衣着せぬ物言いとR-指定のツッコミのバランスの良さは、まるで相性抜群の漫才コンビのよう。2人のテンポのいい掛け合いで賑やかに展開されるトークから、彼らの虜になったリスナーも多いだろう。

 さらにそのバランス感にいいスパイスとして加わるのが、2人のことを理解しきったリスナーから届くメールだ。癖の強いキャラクターのリスナーからも届くメールは、2人の漫才的なやり取りの格好の材料として機能する。変わった口調のものやR-指定曰く「痛い」内容のメールも、それをノリノリで読み上げるDJ松永にかかれば、「放送日が誕生日なので祝ってほしい」という、いたって素朴なメールまでユーモア溢れるものとなる。それに対しR-指定は、DJ松永とリスナーに向けて切れ味抜群のツッコミを続け、若干脱線しながらも笑い転げながら会話を繰り広げる。そんな2人の『ANN0』は、メールを読み上げるというよりもそれをネタにフランクな会話をしているようでもあり、そのテンポの良さや気張らないラフなテンションとコメントのセンスが融合することで、単なるヒップホップユニットのラジオを超えた、ユニークな番組として好評を得てきた。

 とはいっても、彼らはヒップホップ界、DJ界でも並々ならぬ実力の持ち主。『ANN0』のサイトでも「MCバトル日本3連覇のラッパー“R-指定”とDJバトル世界一のDJ、“DJ松永”の二人によるHIP-HOPラジオ!」と紹介されているように(※1)、Creepy Nutsは日本一、世界一の実力を備えたユニットだ。特に『DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019』で優勝したDJ松永は、2021年に行われた東京オリンピックの閉会式に登場するなど、アーティストとしても世界レベルの活躍をしている。そのスケールの大きさは時折ラジオにも反映されており、DJ松永が世界一になった後、普段通りスタジオでラジオ収録をするR-指定がDJ松永と中継を繋いだ場所はロンドン。帰ろうとすれば帰れたがそうしなかった理由がある、と自信満々に話すDJ松永が口にした理由は、「ロンドンに来たらやらないといけないことがある。ロンドンでエド・シーランを探そうと思う」というものだった。その後、道行く現地の人に拙い英語で声をかけ、めちゃくちゃな展開を見せるなど、スケールの大きさとDJ松永の破天荒っぷりがこれでもかと反映された回になった。ファンからのメールをネタにしたトークも含め、予想のつかない展開を自由に作り上げることが、彼らのラジオの魅力ではないだろうか。

 さらに、この3月で月曜『ANN』のパーソナリティを卒業する菅田将暉は、DJ松永が東京オリンピック閉会式に参加したと知った際に、「冷静に考えたら、あの人は世界一のDJやから」と特段驚くことではなかったと振り返る。その上でDJ松永のことを「所作、言動、ふるまい、すべてが圧倒的小物感じゃないですか(笑)。すぐ吠えるし、激辛とかも食うし、すぐ噛み付いてうわーって言う、あの圧倒的小物感。もちろん、かっこいいところも知っているけど」と評す。パフォーマンス時からは考えられない気さくで自由奔放な人柄が、時折表れる大物感とのギャップも含め、多くの人から支持を得ているのだろう。

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