EXILE THE SECOND、“出会いと別れ”を経た5人の新しい夜明け SHOKICHIが明かす、ファンと心を重ねながら歩む決意
「『カゲロウ』は“悲しみ”の頂点で歌う曲が欲しくて作った」
――またカップリングには、SHOKICHIさんの2ndアルバム『1114』以来、約3年半ぶりとなるソロ曲「カゲロウ」が収録されます。この作品をもってソロワークも再始動となりますね。
SHOKICHI:昨年から、ソロとしてもそろそろ曲を発表したいと思っていたんですよ。でも、ソロ名義でいきなりリリースするより、まずはSECONDのシングルのカップリングとして、徐々にフェードインしていくほうが今のテンションに合ってるかなと思って。「このシングルに入れさせてもらっていいですか?」と相談して、昨年末に曲を作り始めました。
――「カゲロウ」は大切な人を失った時の心境を綴ったラブバラードですが、こちらもツアーと絡めて制作されたんですか?
SHOKICHI:今回のツアーは“出会いと別れ”を5つのチャプターに分けて、映画のようにライブを展開していくんですが、「カゲロウ」はその悲しみの頂点で歌う曲が欲しいなと思って作りましたね。
――冒頭のギターの弾き語りがもう、泣かせにきてますよね。
SHOKICHI:デモもまずはギター1本で作って、その後で編曲してもらったんですけど。ここで悲しみを極めて、一旦区切ることで、次の出会いの映画が始まるっていうイメージですね。僕ね、ここ数年は『iCON Z』でプロデュースをするにあたって、自分の年齢設定を18歳くらいにして曲を書くことが多かったんですよ。
――Z世代のマインドですか。
SHOKICHI:そうそう(笑)。Z世代の子たちに合うように、「ウキウキワクワク!」「未来が待ってる!」みたいな気持ちで曲を作っていて。その反動で、最近は大人びた曲を書きたいなという気持ちが強かったんです。それが良い具合に今回のシングルにハマりましたね。
――ちなみに、“カゲロウ”という言葉に聞き覚えがあって調べたところ、昨年SHOKICHIさんが提供された楽曲に何度か使われていることに気づいちゃったんですけど。
SHOKICHI:カゲロウ、使ってました(笑)!?
――THE RAMPAGEの「ROUND UP feat. MIYAVI」では〈揺れている陽炎の中〉、孫一(CV.佐藤大樹)の「Blue Eyes」では〈カゲロウの向こう側に見た〉という歌詞がありまして(笑)。さらに遡ると、SHOKICHIさんのソロ曲「Last Song」にも〈まるで景色は淡い陽炎〉という表現もあって、何か狙いがあるのかもしれないと思ったのですが、いかがですか?
SHOKICHI:そんなに調べていただいて、恐縮です(笑)。結構な曲数を作ってきたので、調べていくと、とてつもない数のワード被りをしてると思うんですけど、単純に“カゲロウ”という響きが好きなんでしょうね。だから、今回“別れ”をテーマに歌詞を書こうと思った時にも、「カゲロウ」という言葉が浮かんだんじゃないかな。で、涙が滲んで前が見えない状況を、ゆらゆら揺れる陽炎とかけてみようと思って。まだ恋人の声が自分の身体に染みついたまま、未来のドアに手をかけても、その残像があるとドアの先に続く道がクリアに見えない、という物語を書いていきました。
――気象現象としての陽炎と、儚く短い命の象徴となっている虫・カゲロウがいますが、カゲロウをカタカナにしたのは、いろんな意味を内包しているからでしょうか。
SHOKICHI:はい、ダブルミーニングで。ありとあらゆる切なさ、悲しさの象徴として“カゲロウ”という言葉を選びましたね。でも、最後は〈涙ののちには晴れだろう〉にして、“カゲロウ”と“晴れだろう”で韻を踏むっていう(笑)。そうすることで、別れの先にも希望が見えますし、あえてハッピーなエンディングにするところが、自分らしいのかなと思います。あと個人的に、これは面白いだろうと思って仕掛けたことがあって。普段歌詞を書く時は、Bメロで1回言葉尻を終わらせて、サビで新しいフレーズに入るっていう表現をすることが多いんですけど、この曲はBメロの〈ように〉の後に「・・・」っていう余韻を作ったんです。これは今までやってこなかった技法で、チャレンジでしたね。
ソロでの展望は“野原”でライブ!?
――「カゲロウ」のレコーディングは、どんなことにこだわりましたか?
SHOKICHI:今の時代、音楽をスピーカーで聴かない人が多いと思うんですよ。音楽の仕事をしている僕でさえ、急いでデータを確認しないといけない時は、スマホで聴いちゃうし(笑)。だったら、スマホで聴いた時に楽に聴こえる歌にしようと思って、肩の力を抜いて歌いました。
――確かに、いつもの歌い方とは違いますね。ラブバラードだし、もっと全力でエモーショナルな歌い方になりそうなところですが、ソフトな聴き心地でした。
SHOKICHI:普段の僕の歌って、めちゃくちゃクセの塊じゃないですか(笑)。いや、それが僕のボーカリストとしての個性ではあるんですけど、今必要なのはパワー系じゃないなと。ここから始まるソロワークはそういう歌を届けたいと思ったので、「カゲロウ」は曲作りも音作りもレコーディングも、かなりリラックスして臨みましたね。
――音数もかなり少ないですよね。その分、歌詞と同様に余韻から伝わるものがあるなと。
SHOKICHI:そうそう。スマホで聴くことを前提に考えると、印象的なしっかりとしたビートとメロディがあれば十分なのかな? と思うし、むしろ音数が多いと空間を邪魔してる感じがしちゃうんですよね。だから、ここからのソロワーク、めちゃくちゃ音数少なめにいくと思います。
――つまり、弾き語りの曲が増えたり、今までよりもフットワーク軽めに歌声を届けていくという意思表示でしょうか。
SHOKICHI:ソロに関しては、小回りの利く活動ができればいいなと思っています。今まではソロでライブをやろうと思ったら、ダンサーが必要とか、バンドもいなきゃいけないとか、大がかりな準備が必要でしたけど、1から自分でコードを決めて作れば、「ファンクラブイベントでお客さんを100人集めて、野原でライブします!」とかも可能になるでしょうし。
――そのライブ、めちゃくちゃ観たいです(笑)。
SHOKICHI:(笑)。そのくらいの距離感で歌えたら最高だなって思いますね。
――では最後に、待望のホールツアーに向けて、見どころと意気込みを聞かせてください(取材はツアー開催前)。
SHOKICHI:この記事が公開される頃には、すでにツアーが始まっていると思うんですが、今回のツアーは“出会いと別れ”という大きなテーマのもと、楽曲を散りばめたので、そのストーリー展開に注目しながら楽しんでもらえたらいいですね。とはいえ、ホール規模ということで客席との距離も近いですし、ある意味、感謝祭のようなライブになればいいなと! 少しずつエンタテインメントも完全復活の兆しが見えてきたので、「さぁみんな、溜めてたぶん、遊ぶよ!」っていう感じで、会場で一緒に盛り上がれるのを楽しみにしています。
※ライブ写真は『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2023 ~Twilight Cinema~ at 広島文化学園HBGホール 2023.2.10』の模様。
■リリース情報
EXILE THE SECOND
『Twilight Cinema』
2023年2月22日(水)発売
【CD+DVD】¥2,800(税込) RZCD-77676/B
【CD】¥1,200(税込) RZCD-77677
<収録内容>
【CD】
1. Twilight Cinema
2. カゲロウ / EXILE SHOKICHI
3. Twilight Cinema (Instrumental)
4. カゲロウ (Instrumental) / EXILE SHOKICHI
【DVD】
『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” 〜Christmas Special〜』
1. YEAH!! YEAH!! YEAH!! ~ CLAP YOUR HANDS ~ ASOBO! feat. Far East Movement ~ SUPER FLY
2. Twilight Cinema