アイドルシーンで加速する人材の流動化 “前世持ち”メンバー加入のメリットとデメリット
活動中のアイドルグループで卒業や脱退するメンバーが出た場合、大抵は新しいメンバーを迎え入れてリスタートを切る。では、新しいメンバーはどのように探すのか。定番は、自グループのホームページやSNSのアカウント、もしくはオーディションサイトを使ってのメンバー募集である。
もちろん、新規でアイドルグループを立ち上げたり、より表現の幅を広げるなど起爆剤的にメンバーを加えたりするときも、同様のやり方で募集がかけられる。
では、そこにはどんな人が応募をしてくるのか。大きく分ければ「アイドル未経験」と「アイドル経験者」である。「アイドル未経験者」とは文字通り、業界経験ゼロの応募者のことである。未経験ゆえにフレッシュな魅力があり、人気、実力ともに未知の可能性を秘めている。一方「アイドル経験者」は、いわゆる「前世持ち」と言われる人たちのこと。過去に別のアイドルグループに在籍していたり、ソロで活動していたり、「アイドル」という肩書きでステージに立ったことがある人たちである。
≒JOYの小澤愛実ら「前世持ち」のアイドル
たとえば、指原莉乃がプロデュースする≒JOYへ2022年6月に加入した小澤愛実。彼女はまさに「前世持ち」。2017年結成のラストアイドルの初期メンバーであり、2022年5月29日にグループが活動を終了した約1カ月後、≒JOYのメンバーとなった。指原は公式コメントで「彼女が前に所属していたグループのメンバーとしてステージに立っているのを見て、一緒に仕事がしたいと強く感じました」と加入理由を説明(※1)。あくまで推測だが、ラストアイドルの活動終了の知らせを聞いた指原側が直接、小澤と彼女の所属事務所へアプローチしたのではないか。動画「Documentary of ≒JOY -Episode1.5- 「転機」+1」の中では、ラストアイドルのラストコンサートの終演後に指原が楽屋で小澤に加入話を持ちかけたことが明かされている。面談などはもちろんあっただろうが、この場合は、前述したような形式の「メンバー募集」「オーディション」とは異なる。
最近ではほかにも、WACKに所属するASPに元HKT48の上島楓がチッチチチーチーチーの名前で、元アイドルネッサンスの野本ゆめかはユメカ・ナウカナ?として活動。FRUITS ZIPPERの月足天音もかつてHKT48に在籍していた。
メジャー、インディーズにかかわらず「前世持ち」がひとりもいないグループは「珍しい」と感じるくらいだ。ネットには、メジャー、インディーズの女性アイドルグループのめまぐるしい人材流動をまとめたサイトも存在するほどである。