レッチリ、My Chemical Romance、Pantera、Blur……再結成・再始動・再加入を経て、2023年に来日する注目バンド

 春フェスシーズンの3月になると、今年は久しぶりに開催される洋楽アーティストメインの音楽フェスがいくつか予定されている。例えば、パンク系アーティスト中心の『PUNKSPRING』とメタル系バンドが一堂に会する『LOUD PARK』だ。それぞれ東京(幕張)と大阪で交互に開催される2つのフェス(『PUNKSPRING』は3月25日に東京、26日に大阪。『LOUD PARK』は25日に大阪、26日に東京)。それぞれのヘッドライナーには、1990〜2000年代に各ジャンルを席巻した大物バンドが用意されている。

 『PUNKSPRING 2023』でトリを飾るのは、2000年代のポップパンク/エモ界隈のトップに君臨したMy Chemical Romance。メジャー移籍作となった2作目『Three Cheers For Sweet Revenge』(2004年)でブレイクし、続く3rdアルバム『The Black Parade』(2006年)では全米/全英2位を獲得するなど、当時のティーンエイジャーから絶大な人気を獲得していた。ここ日本でも『SUMMER SONIC』への複数回出演や、日本武道館や横浜アリーナなどでの単独公演、さらには『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に生出演するなどその人気の高さが窺える。2013年に一度解散するものの、2019年に解散時のメンバー4人での再結成を発表。当初は2020年3月開催予定の『DOWNLOAD JAPAN 2020』で再来日を果たす予定だったが、コロナの影響で中止に。3年の歳月を経て、満を持して再結成後初の日本公演となる。今でも色褪せることのない名曲の数々がどのように進化しているのか、楽しみでならない。

My Chemical Romance - Welcome To The Black Parade [Official Music Video] [HD]

 そして、『LOUD PARK 2023』のヘッドライナーを務めるのは、90年代のメタルシーンにおいて絶大な影響力を誇るPanteraだ。80年代初頭に結成と、その歴史は非常に長いPanteraだが、彼らが注目されるようになったのは1990年以降のこと。フィル・アンセルモ(Vo)という唯一無二のフロントマンを獲得し、メジャー1作目『Cowboys From Hell』(1990年)を発表して以降、そのグルーヴィ&ヘヴィなモダンメタルサウンドと、ダイムバッグ・ダレル(Gt)が奏でる非凡なギターリフ&ソロが好評を博すと、メジャー3作目『Far Beyond Driven』(1994年/邦題『脳殺』)が初の全米1位を獲得。しかし、2003年に解散して以降は、ダイムが2004年、ヴィニー・ポール(Dr)が2018年に亡くなり、再結成は絶望的な状況に陥る。そんな中、フィル&レックス・ブラウン(Ba)は2022年夏、ザック・ワイルド(Gt/Black Label Society、Ozzy Osbourne)&チャーリー・ベナンテ(Dr/Anthrax)をサポートメンバーに迎えた再結成ツアーを開始。すでに動画サイトに出回っている映像を観る限りでは、各々がダイム&ヴィニーへ敬意を表しつつ、よりヘヴィに進化したPanteraの名曲をプレイしているようだ。Panteraの来日は2001年の屋外フェス『BEAST FEAST』以来とあって、彼らを生で観たことがない世代はもちろんのこと、久しくメタルから離れていたリアルタイム世代にもこのスペシャル編成で展開されるステージを目撃してもらいたい。

Pantera - Walk (Official Music Video) [4K]

 洋楽アーティストが多数出演する夏フェス、『FUJI ROCK FESTIVAL』と『SUMMER SONIC』のヘッドライナーにも再始動組が含まれている。まずは、昨年3月に長年のメンバーだったテイラー・ホーキンス(Dr)が急逝したFoo Fightersが、悲しみを乗り越えてライブ活動を再開させる。最新作『Medicine At Midnight』(2021年)を携えた、テイラーを含む布陣での来日こそ叶わなかったものの、2017年の『SUMMER SONIC』以来となる6年ぶりの日本公演では、そんな湿っぽさを忘れさせてくれるほどに熱いロックンロールショーに期待したい。

Foo Fighters - Medicine At Midnight (Visualizer)

 さらに、今年の『SUMMER SONIC』には90年代ブリットポップの立役者、Blurが実に9年ぶりの来日を果たす。12年ぶりの新作アルバム『The Magic Whip』(2015年)を携えたツアー以降は表立った活動が見られず、2019年にデーモン・アルバーン(Vo)主催イベント『Africa Express』で3曲を披露するのみにとどまったが、今年7月にロンドンのウェンブリー・スタジアムでライブを開催することを発表。さらに、6月からはスペイン『Primavera Sound 2023』などの音楽フェスへの出演もアナウンスされ、この一環で日本へも上陸することになる。過去、Blurの国内夏フェス出演は1999年7月の『FUJI ROCK FESTIVAL』、2003年8月の『SUMMER SONIC』と決して多くないだけに、この機会に満喫してほしい。

Blur - Song 2 (Official Music Video)

 今後もさまざまな再結成/再始動/再加入バンドの来日が増えるだろうし、特に複数のアーティストが出演する音楽フェスではその傾向も強いだろう。黄金期をリアルタイムで通過していない若い世代にとっては、すべてが歴史上の存在のようで現実離れしているかもしれないが、この機会を逃すと次は何年後になるかわからないし、あるいは二度と訪れないかもしれない。特に渡航制限などさまざまな理由で、ここ数年なかなか実現しなかった海外アーティストの来日が緩和された今だからこそ、こうしたレジェンドたちの貴重なステージを見逃さないでもらいたい。

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