三森すずこ、蒼井翔太、上坂すみれ、吉野裕行……アーティスト活動10周年を迎える声優たちの個性豊かな楽曲
上坂すみれは声優としても多くの支持を得ながら、強烈な個性を持ったアーティストとしても常に話題となる存在である。自身の趣味嗜好を大きく反映させたアーティスト活動は、声優ファンのみならずサブカルファンにも支持されてきた。美麗なビジュアルを活かしたコンセプチュアルな活動スタイルは、誰も後追いができない独自性を持っている。その独自性が「POP TEAM EPIC」でオープングテーマを務めた『ポプテピピック』など個性的な作品と組み合わさり大きな化学反応を起こすあたりも、“声優アーティスト”としての成功を物語っているのではないだろうか。2月8日には自身も出演するアニメ『イジらないで、長瀞さん 2nd Attack』のオープニング主題歌「LOVE CRAZY」をCDリリース予定だ。
声優として長いキャリアを持つ吉野裕行は、スタンダードなジャパニーズロック・J-POPを踏襲しつつ、芯の通ったメッセージを発信し続けている。決して押しつけることがないナチュラルな熱さや、少年のような伸びやかな声と成熟した表現の絶妙なバランスは、ベテランにしか出せない味わい深さがある。彼の音楽活動は、声優としての表現と同じ特性を持っており、地続きであるように感じられる。だからこそ声優ファンの支持が、そのまま音楽活動にも反映されてきたのだろう。同性からも異性からも憧れられるような大人の魅力は広く周知され、この10年で一種のカリスマ性を帯びてきたと言える。4月にリリースされる5年ぶり、5枚目のミニアルバムでもそうした表現を見せてくれるだろう。
今回ピックアップした4名に共通して言えるのは、この10年間、演技の面でも高く評価され実績を残し、卓越した表現力やパーソナルな側面を音楽に反映し続けてきた、ということだ。声優だからこそできる音楽表現、アーティストとしての側面があるからこそできる芝居やパフォーマンスと、双方向にいい影響を与え合っていることも、個人名義での活動が長く続く秘訣の一つだろう。
声優としての本業に加え、確固たる信念と情熱・強い個性を持っていなければ、ファンからの熱い支持は得られない。10年の活動の中で“らしさ”を追い求め自身を磨き続けてきたアーティストたちが、今後どんな音楽を生み出していくのか期待せずにはいられない。
三森すずこ、山崎はるか、立花理香……声優アーティストが持つ、個性が光る自己プロデュース力
声優アーティストならではの特権ーーそれは、特定の音楽ジャンルに縛られず、その時々で最適なトラックを選びながら、自身の表現を追求で…