2022年のバイラルヒットを振り返る Klang Ruler、THE SUPER FRUIT、NiziU……TikTokでの拡散方法の多様化が鍵に

 さらには、純粋な楽曲の魅力だけでなく、TikTokで拡散されやすいテーマ性のある楽曲が、脚光を浴びた1年であったとも言えそうだ。「Billboard JAPAN TikTokチャート」でロングヒットしているTHE SUPER FRUIT「チグハグ」を見てみると、いわゆる「やらかし、衝撃、ぴえんエピソード」のラストにこの楽曲を引用することがバズっており、楽曲自体がミーム化している。また、「Spotifyバイラルチャート」「Billboard JAPAN TikTokチャート」同時ランクインを果たしたHoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」は、自己肯定感を高めてくれる歌詞と親和性の高いメイクアップ動画を中心に楽曲が引用される傾向が強く、TikTokのメイクアップ動画からこの楽曲を知るパターンも多くなっている。

THE SUPER FRUIT - チグハグ[Official Music Video]
可愛くてごめん (feat. かぴ)/HoneyWorks

 このような自然発生的なTikTokバズだけでなく、アーティスト側から拡散されやすい動画を投稿し、楽曲の拡散を促す動きも増えているようだ。記憶に新しいものでは、メンバーの歌唱とカラオケ音源が交互になっているデュエット投稿用の動画をアップし、多くのオリジナルデュエット動画が引用投稿されたNiziU「Blue Moon」がこのケースである。ダンスカバー動画を投稿したくなるような、ダンサブルな楽曲が多かったNiziUにとって初のウィンターバラードということもあり、今回は一緒にデュエットした動画を投稿したくなるような仕掛けが、多くのファンに喜ばれている。

NiziU(니쥬) 4th Single「Blue Moon」M/V

 2022年を振り返ると、「Billboard JAPAN TikTokチャート」でヒットした楽曲が「Spotifyバイラルチャート」へ派生し、また「Spotifyバイラルチャート」でのヒットが「オリコンチャート」などお茶の間レベルへ派生する動きがより強まった印象を受ける。そんななかで、起点となるTikTokの存在感は日々高まっており、その重要性は今後さらに高まるだろう。今年も心を揺れ動かすような音楽に出会えることを祈りながら、各チャートの動向をチェックしたい。

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