ELLEGARDEN、16年ぶりアルバムがチャート好調 最新作からも伝わる“エルレ”が特別なバンドであり続けた理由

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-01-02/

 日付こそ「2023年1月2日付」ではありますが、今年最後となるアルバムチャート。大トリにふさわしい主人公の登場です。初登場2位に輝いたELLEGARDENの『The End of Yesterday』。このタイトルも、満を持して活動を再開した2018年から、コロナ禍でいろいろとストップした2020年以降、激動だったこの数年を締め括るにふさわしい響き。復活に騒ぐだけ騒いだ昨日が終わり、ここから今のELLEGARDENが始まります。

ELLEGARDEN - Mountain Top [MUSIC VIDEO]

 簡単におさらいすると、1998年結成、2001年にデビューしたELLEGARDENは、Hi-STANDARDを筆頭とするパンクブーム「AIR JAMシーン」のネクスト世代を代表するバンド。『AIR JAM』がピークを迎えたのが2000年、その後のライブハウスシーンを作った「ポストAIR JAM世代」であり、アメリカでBLINK-182やSUM 41、NEW FOUND GLORYなどが爆発的に売れていた「ポップ・パンク/エモ」のシーンとリンクする存在でもありました。

 ELLEGARDENと同時期に台頭したのが、10-FEETやマキシマム ザ ホルモン。「AIR JAM世代」バンドが隣の兄ちゃんっぽい親近感、スケーターなどを巻き込んだストリートカルチャーの空気をまとっていたのに対し、「ポストAIR JAM世代」にはより複雑で高度な音楽があり、ショーも洗練されるという特徴がありました。ホルモンのように何でもアリのヘヴィロック・エンターテインメントは、AIR JAM世代のバンドには見られなかったもの。ELLEGARDENほど優れた歌唱力を持ち、さらっと幕張メッセで興行を打てるパンクバンドだって、それ以前はまずいなかったと思います。

 前時代を塗り替える人気を博し、その重圧ゆえに活動を休止したELLEGARDEN。以降、細美武士(Vo/Gt)はthe HIATUSやMONOEYESを始動させ、生形真一(Gt)はNothing’s Carved In Stoneで活躍。ELLEGARDENの復活は「誰もが待っている」けれど「まず、ありえないもの」と考えられてきました。空気が変わったのは2018年、ONE OK ROCKの働きかけによって10年ぶりの復活が決定。舞台となったその夏のZOZOマリンスタジアムには、嗚咽にも近い歓喜の声が溢れていました。

Make A Wish [from THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018@ZOZOマリンスタジアム]

 とはいえ、これが一夜限りの花火になるのか、それとも継続的に続くものになるのか、当時は本人たちもわかっていなかったそう。バンドは終わらせないとメンバー4人で決めたものの、その後、細美はthe HIATUSのアルバム(2019年)、MONOEYESのアルバム(2020年)とハイペースで別の制作を続けます。アルバムが出ればツアーも行われ、MONOEYESの武道館公演が終わった2021年の末になり、ようやく私は「来年からいよいよエルレの新作に向けて動く」との話を聞くことができたのでした。

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