DUSTCELL、自身最大規模公演に感じた変化の予兆 バンドによる生演奏で見せた新しい表現

 DUSTCELLが11月17日、ワンマンライブ『PREPARATION』をTOKYO DOME CITY HALLにて開催した。自身最大規模となる今回は、これまでのDUSTCELLの世界観を突き詰めつつも、これまでにない新たな姿を見せた一夜となった。

 まず開演すると暗かった会場に光が差し、ステージ上に立つEMAのシルエットが出現。EMAが「TDCホール!」と叫ぶと、同時に1曲目「CULT」がスタートした。観客はグッズのペンライトを掲げ会場が光で一色に。最初から会場には一体感があった。続いて「不成者」を披露。今回のライブは新しくバンドメンバーを携えての生演奏となっている。それにより普段よりもサウンドにみずみずしさとグルーヴ感の増したステージが展開されていた。

 またステージ上には奥が透ける大きな透過LEDが設置されており、そのスクリーンに映像が流れる仕掛けとなっている。もちろんメンバーたちも見えるが、スクリーン越しのため顔までは分からない。しかしDUSTCELLはビジュアルを出さないユニットだ。演者の細部まで観客側に見える必要がない。そうしたDUSTCELLの特徴と、ステージセットの特性とが見事にマッチした演出でライブは進行した。

 そんななか、Misumiのソロ曲「オルターエゴ」のカバー、「PAIN」、「bibouroku」、「izqnqi」、「albino」といった多種多様な楽曲を次々に繰り出していく。曲ごとにアニメーションやグラフィックなどが様々に移り変わり、作品の世界観を音楽的にも、映像的にも高度に表現していた。照明の演出も見事だ。音や映像に合わせてレーザーが放射されたり、ミラーボールがカラフルに光ったり、ライトがランダムに照射されたりと、あらゆるパターンで楽曲の世界を支えていた。

 歌い終えるとEMAが「改めましてDUSTCELLです、よろしくお願いします」と元気よく挨拶。オーディエンスもそれに大きな拍手で応えていた。ここからはDUSTCELLの2人による編成になり、「火焔」で再スタート。そして「DERO」「堕落生活」「Mad Hatter」「SOPPY」「SANDBAG」「ID」「NOT CRYING」といったダンサブルかつアグレッシブな楽曲が続いた。破滅的で自堕落な歌詞と、攻撃的な破壊衝動を発散するEMAとMisumiのパフォーマンス。それを鮮やかな映像と照明演出が彩る無秩序かつ狂乱のステージ。EMAのボーカルも一層表現力が増している。例えば叫び声の中にも悲痛さや苦痛が入り交じり、胸を突き刺すものがある。DUSTCELLの真骨頂が随所に見て取れた。

 ここで「楽しんでますか?」とEMAが投げ掛けた。「今までのライブでやったことない曲をやってる」というこの公演。「後半はもっと盛り上がってくれますか?」と問えば、大きな拍手が起きる。中盤ながらも会場全体の空気はぐいぐいと上がっているのを感じた。

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