マカロニえんぴつ、雨をも味方につけるエモーショナルなステージ OKKAKEに捧げた初の日比谷野音ワンマン

 マカロニえんぴつが、オフィシャルファンサイト「OKKAKE」会員限定ライブ『マカロック“初”野音ワンマン☆東阪篇』を開催。10月8日の大阪城音楽堂、11月13日の日比谷公園大音楽堂の2公演のみの企画で、バンド史上初の野音ワンマンとなった。本記事では、雨天の中で行われた11月の日比谷野音でのライブの模様をレポートする。

 ステージが暗転し、The Beatles「Hey Bulldog」のSEが流れると、待ちわびたファンたちは総立ちでメンバーを迎え入れる。はっとり(Vo/Gt)の「日比谷ー!」というシャウトとともに、「トリコになれ」でライブがスタート。スピード感満点のリズミックなサウンドが独特の“始まり感”を醸し、オープニングからフルスロットルの様相だ。

 その後も、「調子はいいでしょうか?」「日比谷、そんなもんか?」と客席に呼びかけながら、曲をたたみ掛けるように展開。そのテンポ感が実に心地いい。加えて、厚みのあるダイナミズムと軽やかさが同居する音の鳴りは、マカロニえんぴつのオリジナリティともいえる真髄。疾走感溢れる「ハートロッカー」ではハンドクラップで盛り上がり、メンバーも弾ける笑顔を見せる。そんな彼らのプレイは、やみ間のない雨を吹き飛ばすかのような勢いに満ちている。

 続いて、日産「SAKURA」CMソングにも起用されている「たましいの居場所」を披露。カラフルな照明の演出もさることながら、表情が瞬間的に変化するアンサンブルが秀逸だ。高野賢也(Ba/Cho)の重心の低いベース、田辺由明(Gt/Cho)の荒ぶるギター、長谷川大喜(Key/Cho)の繊細な鍵盤が触発し合い、溶け合いながら、色とりどりに輝く。そこにはっとりの歌声が交わり、コーラスでほのぼのとした気持ちを喚起する。

 さらにその色彩は、曲ごとに深みとバリエーションを増していく。“セツナロック”ともいえる「恋の中」では、青を基調とした幻想的な映像&ライティングや、心に沁みるボーカルで観客をぐっと引きつけて魅了。「恋人ごっこ」では、センチメンタリズムを漂わせた泣きのロックを聴かせる。

 また、事前に行ったファンへのアンケートでTOP3に入った楽曲を演奏。3位の「零色」から、2位「ワンドリンク別」、1位「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」と続き、会場は一体感に包まれる。雨脚が時折激しくなる中、降り注ぐ雨粒がライトに照らされ、プロジェクションマッピングが浮かび上がる光景も印象的だ。

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