“第5期”WANDS、『SLAM DUNK』ED曲「世界が終るまでは…」に対する葛藤 「求められるものに応えられる自信がなかった」

WANDS「世界が終るまでは…」への葛藤

 1991年12月、上杉昇(Vo)、柴崎浩(Gt)、大島こうすけ(Key)による3ピースバンドとしてシングル「寂しさは秋の色」でデビューしたWANDS。翌年7月にリリースされた3rdシングル「もっと強く抱きしめたなら」が160万枚を超えるセールスを記録したことをきっかけに、「時の扉」「愛を語るより口づけをかわそう」「恋せよ乙女」など大ヒット曲を連発、一躍トップアーティストへと昇りつめた。幾度デビューから2度のメンバーチェンジを経て、2000年に解体(解散)したが再始動。2019年からは“第5期”WANDSとして、上原大史(Vo)、柴崎、木村真也(Key:現在、活動休止中)の3人で精力的な活動を行っている。

柴崎「当時は特別な思い入れがあったというわけではなかった」

WANDS「世界が終るまでは…[WANDS第5期ver.]」ジャケット

 今年でデビュー31周年を迎えるWANDS。その代表曲として現在もなお高い人気を誇っている楽曲がある。それが、1994年6月に8thシングル表題曲として発表された「世界が終るまでは…」だ。作詞を当時のボーカリスト・上杉、作曲を織田哲郎、アレンジを葉山たけしが手がけた楽曲は、TVアニメ『SLAM DUNK』の第2期エンディングテーマとして起用され、ミリオンセラーを達成した。本作についての記憶をレコーディングにも携わった柴崎と、当時はいちリスナーとして聴いていたという現ボーカリストの上原はこう回想する。

柴崎浩(以下、柴崎):デモテープをラジカセで聴かせてもらった瞬間、「あ、いい曲だな」って思いましたね。当時のやり方は葉山(たけし)さんがアレンジする際にはメンバーもスタジオに居て、ギターソロのコード進行なり何か思いつけば、それを反映してもらったりする事もありました。この曲でどうだったかは覚えていませんが、ギターに関してはいつも自由に弾けるスペースをたくさん残していただいていて。自分としては、イントロとか良いフレーズを思いついたなっていう感触はありました。

上原大史(以下、上原):『SLAM DUNK』の影響もあって、この曲の知名度は絶大なものがありました。友達とカラオケに行けば誰かしらが必ず1回は歌うし、なんなら誰が歌うかでマイクの取り合いになる感じもあって(笑)。あれだけのヒットになったのは、曲の持ってるスケール感が圧倒的だからだと思います。だって、タイトルからして「世界が終るまでは…」ですから。とにかく熱くて、渋くて、かっこいい。上杉(昇)さんの書く文学的で、いろんな苦悩さえも感じさせられる深い歌詞もすごく印象的で。当時はWANDSというバンドに対してのバックグラウンドは何も知らなかったですけど、曲の持っているパワーにグッと心を掴まれていた感じでした。

 「楽曲に対しての向き合い方としては、他の曲と同じというか。当時は特別な思い入れがあったというわけではなかったです」と語る柴崎。だが、リリースから年月を重ねるごとに、「世界が終るまでは…」が普遍的に愛され続けていることを、身をもって経験していくことになる。

柴崎:僕は20年ちょっとWANDSから離れていた時期(1996~)があるんですけど、その期間に「世界が終るまでは…」に対して熱い思いを持った人にめちゃくちゃたくさん会ったんですよ。どの方も、「あれは俺の曲だ」くらいの熱量を持ってくれていて(笑)。最近もね、小さなお子さんが『SLAM DUNK』きっかけで曲も好きになってくれたという話も聞きますし。今から28年も前の曲なのに、変わらずに情熱をもって楽曲と向き合ってくれる人がたくさんいて、その熱量は衰え知らずというか。もちろん「世界が終るまでは…」は自分たちの曲なんだけど、もはや一人歩きしている感じがしますよね。大好きでいてくれる人たちのもの、みたいな感覚です。

 2019年からスタートしたWANDSの“第5期”では、様々なテレビ番組やライブイベントに出演し、「世界が終るまでは…」を披露する機会も多い。今年8月に開催された『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』では、『SLAM DUNK』第1期エンディングテーマを歌っていた大黒摩季とともに同曲を歌い、会場を大きく沸かせた。時代を経てもなお多くのリスナーに求められ続ける楽曲が存在していること。それはWANDSにとって大きな喜びであることは間違いない。だが、3代目ボーカルとしてバンドに加入した上原にとっては少なからず葛藤もあったようだ。

WANDS

上原:今だからこそ言えますけど、正直「もうやめてくれ」という気持ちもあったんですよ。この曲がどれだけ偉大で、どれだけたくさんの人に愛されているかはもうWANDSに加入する前から知ってましたからね。当初は、求められるものに応えられる自信がなかったんです。元々リスナーだった自分からすると、「お前、誰やねん!」ってツッコまれることもわかってましたし。“第5期”としてオリジナルの新曲も出していたのに、どうしても「世界が終るまでは…」を求められること多かったので、けっこう精神的にはしんどかったです。ただ、最近はそこからようやく脱却できた感覚もあって。今は何の抵抗もなく、今の自分として歌えるようになれた気がします。 

柴崎:上原のそういう葛藤は、そばにいてめちゃくちゃ感じていました。そこは誰にも手を差し伸べられない部分でもあるから、自分なりに試行錯誤して、模索していってもらうしかなかったというか。ただ、活動していく中でWANDSに対して、そして上原自身に対して応援してくれる人の存在が明確になってきたので、そこに後押しされてしっかり前を向けた部分はあったんだと思います。「世界が終るまでは…」に関しては、そういうストーリーというか、歩みみたいなものはあったんじゃないかな。

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