METAFIVE、発売中止を経た2ndアルバムがチャート好調 “ラストアルバム”にしてフレッシュさ感じる作品に

 そんな背景を重ねたくなるようなところが、たしかに『METAATEM』にはある。たとえば「Full Metallisch」や「May Day」、「Snappy」あたりで時折顔を出す、鈍くあたりを曇らせるような響き(ゴンドウトモヒコの貢献だろうか)。バレアリック的なニュアンスも漂う、おおらかな没入感のある「Communicator」もそこに並べたい。『META』や『META HALF』といった過去作ではあまり顔を出さなかった、中間色のようなニュアンスがひたっとアルバムのなかに貼りついている、というか。そう考えると、カバーアートワークもモランディっぽく見えてくるような……。

 一方で、これまで以上に「バンド」らしい勢いを感じる。特に制作スタイルが変わったわけではなく、これまで通りデータのやり取りで個人プレーを重ねてつくっていたにもかかわらず、だ。前述のインタビューでメンバーも語るように、生ドラムの比率が高いことが功を奏した部分も多そうだ。その見立てに従うなら、「In Sorrow」はアシッドなベースラインとトリッキーな16ビートで突き抜けていくダイナミックなドラムが印象的な楽曲で、その好例といえよう。フックになっているのは歌メロで、サビで飛び石をわたるように言葉を置いていくことで、遅さとスピード感が拮抗する多層的なグルーヴがところどころ生まれているのが面白い。

 2016年当時のMETAFIVEを第一期とするならば、『METAATEM』は第二期のはじまりも感じさせるフレッシュな作品だ。それだけに“ラストアルバム”と銘打たれていることは複雑だが、ひとまずはこの機会に広くリスナーへ届けられたこの作品へ耳を傾けたい。

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