乃木坂46、3年ぶり神宮公演は特別な3日間に 離れても刻まれ続けた球場とグループの歴史
乃木坂46が8月29日より3日間にわたって『真夏の全国ツアー2022』のツアーファイナルを開催する。場所はグループにとっての聖地・明治神宮野球場。神宮でのライブ開催は2019年以来、実に3年ぶりとなる。
乃木坂46は2014年を皮切りにして、6年連続で神宮でのライブを開催してきた。当時、同会場での単独ライブの開催はTHE ALFEE以来、14年ぶりの快挙だった。収容人数は、約3万7千人。今年5月にはその上をいく、日産スタジアムで約7万人の景色を目の当たりにしている乃木坂46だが、神宮はまた別のホームグラウンドーーたくさんの思い出が詰まった帰るべき場所だ。
神宮という会場にとっても乃木坂46は大切な存在になっているようだ。球場の公式Twitterでは「あと30日」「あと20日」「あと10日」「あと9日」……とこれまでのライブ写真と一緒に公演当日に向けたカウントダウンが日々刻まれている。最初にツイートされたのは、夜の神宮のスクリーンに光る乃木坂46のロゴマーク。2020年5月にMVが公開された「世界中の隣人よ」を示唆したものだ。
乃木坂46にとって毎年恒例だった神宮での公演は、コロナ禍によってストップしてしまった。私たちにできることとして、乃木坂46は新型コロナウイルスの感染防止や治療に尽力している医療従事者、自粛を続けている人々への感謝の気持ちとエールを歌った「世界中の隣人よ」を発表。生駒里奈や西野七瀬など大勢の卒業生と当時の現役メンバーが初めて一緒に制作した楽曲であり、MVではそれぞれの自宅や職場などでリモート撮影された映像が使用されている。当時の世間のムードをリアルに収めながら、徐々に神宮の客席やスクリーンが見えてくる間奏パートを経て、大サビからはCGによってアリーナに巨大なステージとサイリウムの海が再現される。楽曲自体も「シンクロニシティ」に通ずる、力強いメッセージ性を放っている。この年に放送された『乃木坂46時間TV』のテーマ「はなれてたって、ぼくらはいっしょ!」がまさにそうだろう。
乃木坂46は同年7月にオンエアされた『シブヤノオトSPECIAL-みんなでエール-』(NHK総合)にて、神宮から「世界中の隣人よ」を披露している。無観客の、ステージも組まれていない会場で、言葉を紡ぐようにして大切に「世界中の隣人よ」を歌うメンバーたち。番組ではこの披露の前に「何度目の青空か?」を歌唱しているのだが、「世界中の隣人よ」でタイミングを見計らったように雨が降り出す運命的な演出は神がかっていた。乃木坂46にとって神宮でのパフォーマンスに雨は付きもの。まるで神宮が「おかえりなさい」と恵みの雨で彼女たちを歓迎しているかのようであった。「世界中の隣人よ」はこれまで様々な場所で歌われてきている楽曲であるが、ようやくサイリウムが揺れる有観客の神宮でパフォーマンスされるかもしれない。
今年3月にはスマートフォン向けアプリゲーム『乃木恋』のYouTubeチャンネルに公開された動画『君がいるから僕はここを好きになる』で、秋元真夏と梅澤美波のキャプテン・副キャプテンコンビが神宮を訪れている。企画のテーマは「過去を振り返ること、そして新しい思い出を作る」。秋元は客席からの眺めを見て「やりたいね、ライブ。神宮だよね、やっぱり!」と満面の笑みをこぼす。神宮でツアーが開催できなかった2020年、2021年を振り返る梅澤は、ファンからの声を通じて「私たちにとってもこの場所に立つってすごい特別だけど、それと同じぐらい大事に思ってくれてるんだなって、ここでライブができなかった2年間でより感じた」と話している。
2019年の神宮はグループを卒業する桜井玲香から秋元へとキャプテンが受け継がれた年だった。そこから3年が経ち、乃木坂46は大きく変化している。グループを卒業していくメンバーがいる一方で、今年2月には5期生11人が加入。彼女たちにとっては今回が初めての神宮のステージとなる。昨年11月に副キャプテンに就任した梅澤にとってもきっと新たな気持ちで臨む公演に、そして、この3年でグループを代表する現役エースへと成長した4期生たちも頼もしいパフォーマンスを見せてくれることだろう。神宮公演の最終日、8月31日にリリースとなる30thシングル『好きというのはロックだぜ!』でセンターを務める賀喜遥香も、『のぎおび』(SHOWROOM)にて3年前に初めて立った思い出深い神宮のステージを回顧しながら、「楽しみですね、また(神宮に)行くのが」と笑顔を見せていた。