Kroi、Zepp Hanedaで初フリーライブ 気持ちのシートベルトを外して楽しんだこの場限りの音楽空間

 メロウ&スムースな手触りの「Not Forever」では、内田の滑らかなボーカル、千葉を中心としたコーラスワークの妙で聴かせる。チルという言葉ではとても捉えきれない奥深さを感じさせるこの曲は、Kroiの豊かな音楽性を証明していると思う。さらにとろけるような官能性を帯びた「Airport」へ。“気分が良くて何が悪い”と言わんばかりの快楽的な音楽空間を生み出し、オーディエンスを陶酔へと導く場面からは、アルバム『telegraph』の充実ぶりがしっかりと伝わってきた。

 「ここからはブチ上げゾーン。踊っていって」(内田)と煽り、ド派手でアグレッシブな音像が鳴り響いた「Small World」からライブは後半へ。「HORN」「Network」というライブアンセムを重ね、ニューアルバムの収録曲「WATAGUMO」のシックなグルーヴへと結びつける構成も新鮮だった。ラストはもちろん、「Fire Brain」。切れのいいギターリフ、ファンクの真髄を掴んだリズムセクション、煌びやかな鍵盤のフレーズ、ソウルフルなボーカルがぶつかり合い、圧倒的な高揚感を生み出した。アウトロの爆音フリーセッションも圧巻。“このメンバーで音を出すことが楽しくて仕方がない”という雰囲気にもグッと惹きつけられた。

  7月末に開催された『FUJI ROCK FESTIVAL』に初出演。この後も『Local Green Festival』、『WILD BUNCH FEST.』などのフェスに参加し、9月からは初の全国ライブツアー『Kroi Live Tour 2022 “BROADCAST”』がスタート。アルバム『telegraph』によってKroiのライブはさらに自由度と解放感を増すことになる。その進化ぶりをぜひ、現場で体感してほしいと思う。

■セットリスト
1.熱海
2.Juden
3.selva
4.Page
5.Drippin' Desert
6.Not Forever
7.Airport
8.Small World
9.HORN
10.Network
11.WATAGUMO
12.Fire Brain

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