あいみょん『瞳へ落ちるよレコード』

　前作『おいしいパスタがあると聞いて』以来、約2年ぶりとなるフルアルバムが到着。『瞳へ落ちるよレコード』という秀逸なタイトルが冠された本作には「初恋が泣いている」（ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの？』主題歌）、「ハート」（ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』主題歌）などの話題曲がたっぷり。“傷つけ合って、泣いて、秘密を抱えて生きていきたい”という思いをリリカルに描いた「姿」、オムライスのケチャップが服についてしまった瞬間に失恋の痛みを知る「ペルソナの記憶」など、日常のなかのちょっとした風景や出来事のなかに恋愛の深淵を見るようなソングライティングはさらに冴えわたっている。フォーキーにしてオルタナな音像も独創的だ。（森）

東方神起『UTSUROI』

　穏やかでスムースなグルーヴを感じさせるトラック、優しく、美しいラインを描くメロディ。『まなざし』（2020年1月）以来、実に2年半ぶりとなるニューシングルの表題曲「UTSUROI」は、洗練と深みを感じさせるミディアムチューンに仕上がっている。〈うつろう街 人 流れても／あなたの横でいつかまた笑いましょう〉というラストのフレーズが示す通り、うつろいゆく時代のなかでも、愛する人と一緒に歩んでいきたいという願いを刻んだリリックーーそこにはもちろん、ファンに対する思いも含まれているーーも心に残る。カップリングには、80‘sエレクトロポップのテイストを押し出した「The Reflex」を収録。アーティストとしての成熟ぶりを示した表題曲、トレンドに沿ったカップリングのバランスも見事だ。（森）