ロッキン、サマソニ……“都市型フェス”はメリットだらけ? 存在感増す一方で抱える問題点とは
全国には様々なフェスが存在するが、大まかに区分すると郊外型フェスと都市型フェスに大別できる。郊外型フェスは、主に『FUJI ROCK FESTIVAL』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL』などの自然に囲まれたフェスを指し、アクセスに難があることも多いが、開放的な空間の中で音を楽しむことができるのが特徴である。一方の都市型フェスは、その名の通り都市から近い会場・施設で開催されるものを指す。『SUMMER SONIC』などは、まさに都市型フェスの代表的なものだ。当初フェス文化が根づくまでは夏フェスと言えば郊外型をイメージする人も多かったかもしれない。だが、年々都市型フェスの存在感が増している印象を受ける。
今年で言えば、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』が茨城県から千葉県に開催地を変更することに伴い、郊外型から都市型フェスにカテゴライズできるようになった。他にも、世界最大のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL』や、埼玉の春フェスとして定番化した『VIVA LA ROCK』も都市型フェスの代表だ。関西に目を向けても、2020年、コロナ禍で開催された最初期の大型イベントである『THE BONDS』も大阪城ホールで開催されており、都市型フェスとして区分することができる。九州を代表する『NUMBER SHOT』も、2019年までは海の中道海浜公園が会場となっていたが、2021年と今年は観客のマスク着用での熱中症リスクなどを考慮して福岡PayPayドームにて開催されている。
このように都市型フェスは年々増えているわけだが、ではなぜ増えているのか。まずは前述もしたアクセスの良さが挙げられる。郊外型フェスの多くは、公共交通機関で直接会場に行くのが難しく、自家用車などで現地に乗り込むか、直通のシャトルバスの使用が必要となる。一方、都市型フェスの多くは公共交通機関からのアクセスが可能かつ、主要駅から歩いていけるケースも多く、フェスにあまり参加したことがない人にとっても参加へのハードルが低いことが魅力のひとつだ。
さらに、都市型フェスの場合、室内の会場では環境が整っており、猛暑対策もしっかりしている場合が多い。少なくとも、屋内であれば直射日光は避けられるし、場合によってはコンビニやATMなどにもすぐアクセスできるところが強みだ。『SUMMER SONIC』の場合、野外ステージと室内ステージが混在しているため、参加者によっては体調なども踏まえながらステージを行き来してフェスを楽しむこともできる。郊外型フェスの多くは会場の構造上、日の入りまで日差しを浴び続けることになるため、環境面での参加のしやすさもまた、都市型フェスが人気の理由だと言えそうだ。