GLAY、幕張の地でファンと新たに交わした約束 FC発足25周年ライブに表れたバンドの充実

 8月初旬、Twitterでは「#初めてのGLAYライブ」というハッシュタグが賑わいを見せていた。各自が大事に保管していた紙のチケットやツアーグッズの写真とともに、初めてGLAYのライブに参加したきっかけなどが次々と投稿されたのだ。GLAYは1994年にメジャーデビュー。90年代後半から現在に至るまで数々のヒット曲を世に送り出し、国内外問わずあらゆる場所に足を運び、精力的なライブ活動を行ってきた。最近ライブに行き始めたという人もいるだろうし、単独ライブはもちろん、イベントやフェスに出演する機会もあるため、なにかのタイミングで一度はライブを見たことがあるという人も少なくないはずだ。

 なかでも1999年に千葉・幕張メッセ駐車場特設ステージで開催された『GLAY EXPO '99 SURVIVAL』が“初めてのGLAYライブ”だという人もきっと多くいることだろう。単独アーティストとしては異例の20万人を動員し、当時世界記録を樹立するなど社会現象にもなった大規模イベントである。以降GLAYにとって幕張は大切な場所の一つとなり、様々なライブを行ってきた。

 あれから23年が経った2022年7月30・31日にもまた、GLAYは幕張の地でファンとの再会を果たしていた。幕張メッセ国際展示場9~11ホールにて行われた『GLAY LIVE TOUR 2022 ~We♡Happy Swing~ Vol.3 Presented by HAPPY SWING 25th Anniv.』である。ファンクラブ「HAPPY SWING」の発足を記念した本公演は、2011年、2016年に続く3回目の開催。もともとは25周年を迎えた昨年夏、会員限定ライブとして行われる予定だったが、コロナの影響で延期に。メンバー・スタッフ間で話し合いを重ねた結果、今年は大阪・仙台を巡り、非会員も参加できるライブとして開催された。本稿ではのべ6万4000人のファンが参加した本ツアーより幕張初日公演を振り返りつつ、現在のGLAYのライブの魅力についてふれていきたい。

 GLAYのライブの醍醐味といえば、非日常を味わえる空間づくりやステージ演出だ。今回は会場中央に円形のメインステージがあり、十字に花道が伸びている。ステージは可動式で転換ごとに正面の向きが変わるという全方位のファンへの配慮が感じられるつくりとなっていた。ホール内は宇宙空間のような装飾が施され、25年間に渡りGLAYとファンが築き上げてきたコスモに足を踏み入れたような印象を受ける。開演時間を迎えると100人超えのマーチングバンドがステージ円周をびっしりと埋め尽くし、GLAYの名曲メドレーを迫力あるブラスサウンドで届ける。オープニングからすでに大きな感動を生んでいた。

 TERU(Vo)、TAKURO(Gt)、JIRO(Ba)、HISASHI(Gt)にサポートのTOSHI(Dr)、ハジメタル(Key)を加えた6人がステージに登場。ファンクラブ向けのライブということもあり、セットリストにはレアな楽曲から最新曲まで幅広いラインナップが揃った。この日のMCではツアーを通じてバンドとしての調子がとてもいいことにふれられていたが、繊細なバラードから攻撃的なロックナンバーまで、バンドサウンドを余すことなく楽しむことができるのが今のGLAYのライブだ。TERUの美しいハイトーンを筆頭に、HISASHI、TAKURO、JIROといった楽器隊の演奏も歌うかのようにいきいきと鳴っている。

(写真=田辺佳子)

 MC中に会場にいるファンに2択の質問に答えてもらう「あなたはどっち派」の企画では、JIROからライブで声出しをしない現状維持のライブと声出しありのライブ、どちらがいいかという質問が投げられた。その際、声出しありのライブになると「HOWEVER」の時に一緒に熱唱してしまいたくなる人々が再び現れる……といった冗談交じりの話があったが、コロナ禍のライブでは歌や演奏をより集中して楽しめるようになったのは確かだ。だからこそ、中盤に設けられた「月の夜に」から「HOWEVER」までのTERUのボーカルを堪能するセクションが活きてくる。この日のライブではステージ上のスクリーンに歌詞が表示されており、歌われる言葉の一つひとつを噛み締めながらライブに参加することができたのではないだろうか。

(写真=岡田裕介)

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