フジロックから、ROCK IN JAPAN FES、サマソニまで……コロナ禍での国内大型フェスのスタンス シーン活性化への希望も

 新型コロナウイルス感染の状況は日々形勢が変わり、情報が更新されているこの頃。この記事を書いているさなかも感染者数の増加や変異株の発見といったニュースが飛び込んできている。しかし、対夏フェスに限ってみると、昨年までとは異なり、有観客で開催できており、明るいニュースと言えるだろう。この2年間で、コロナ禍でどのようにイベントを開催するべきかという知見が溜まってきたこと、演者や参加者の多くもその知見を共有できていること、コロナに対する世間的なリテラシーの向上やワクチンの普及、といった様々な変化が生じているからこそ、フェスはコロナ禍において次のフェーズへと駒を進めているように感じる。

 それに伴って、いわゆる大型フェスのルールも洗練されてきている。例えば、『FUJI ROCK FESTIVAL』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL』では、他の観客と距離があり、発声や会話がない場合を除いて基本的にマスクの着用を推奨するメッセージを発しており、ソーシャルディスタンスの徹底、こまめなアルコール消毒、声出しの禁止、飲食時は距離をとり、会話をする場合はマスクをすること、個人情報の提出、接触確認アプリ COCOAの登録といった、コロナ禍のライブイベントでの基本的なルールを改めてアナウンスしている印象だ。会場入場前の検温も徹底されるようで、37.5℃以上の発熱を確認された参加者は、その場で入場を断るというアナウンスも行われている。

 2020年はほぼ唯一といってもいい、コロナ禍での開催を行った『RUSH BALL』でも同様のアナウンスが行われている。開催地と二人三脚になって行う必要があるフェスにおいては、各市がアナウンスしているルールを踏まえて、フェスのルールも構築しているようである。

 ソーシャルディスタンスを確保するための試みとして、『WILD BUNCH FEST.』などでは前方エリアは入場制限を行い、アーティストごとの事前予約制をとる。前方エリアへの参加を希望するアーティストのライブは、公式アプリにて事前に申し込みをする必要があるとのこと。また、『MONSTER baSH』ではソーシャルディスタンスを保つための試みとして、着席用のシート(モンバスシート)を運営側が配布することがアナウンスされている。座って鑑賞する際は、シートを広げることで、観客同士のパーソナルスペースを確保する、という施策だ。

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