SUPER BEAVER、“あなた”と向き合い続ける決意表明 強化されたメッセージ鳴らしたホールツアーファイナル

柳沢亮太(Gt)

 ライブも後半に差し掛かったところで、メンバーによるMC。柳沢はツアーを無事完遂できた喜びを口にし、「当たり前じゃないなって今回のツアーですごく思わせてもらっています。来てくださるあなたがいて、1本1本大事に大事に、『楽しもう』という気持ちが互いに行き交うツアーができた」と感謝を述べる。続いて話を振られた上杉も「この期間(コロナ禍)、自分はバンドとか仲間とかチームとか音楽に改めて救われた。不幸中の幸いってあえて言うけど、今とってもいい状態でバンドができています」と客席に頭を下げる。そして「かわいこちゃん」こと藤原は「どうもありがとー!」と声を上げると、後ろから見る3人の背中が楽しそうで「少年みたい」だと笑顔を見せる。

 そんなメンバーそれぞれの言葉を引き取って「18年目に差し掛かって背負いたいものはどんどん増えてくるんです。大げさなことを言えばあなたの人生まで背負いたいなと思えるようになりました。だからこそ、俺たちは全身全霊、命をかけてあなたの『楽しい』を守ろうと、そんな所存でここに立ってます。でもバンドは慈善事業じゃない。俺たちも楽しくならなきゃバンドをやっている意味がない。だからあなたには命をかけて俺たちの『楽しい』を守ってほしいと思ってる」と語る渋谷。最初から彼はたったひとつのことを言葉や言い方を換えて訴え続けている。そうして鳴らされた「アイラヴユー」の〈愛してる〉という言葉はまさに壮絶な決意表明だった。

 ここからは怒涛の終盤戦。「東京流星群」でSUPER BEAVERの歴史を、『東京』というアルバムを作り上げた今に直結させてみせると、「秘密」では「声出せないけど、頼むぜ。聞かせてください!」と客席を煽り立て、オーディエンスは手振りと気持ちだけで巨大なシンガロングを生み出してみせる。「SUPER BEAVER、18年目、過去最高です。ありがとうございます。一緒に作った感じがするよね?」。歌い終えた渋谷の言葉は無邪気な喜びに満ちていた。最初から最後まで、4人ともとても楽しそうで、充実感がその顔には浮かんでいる。「持ちつ持たれつでいたいです。あなたがいてこその俺たちです。俺たちがいてこそのあなたって、あなたに言ってもらえるようなバンドを目指して、これからも精一杯頑張りますので、安心してついてきてください」。渋谷が客席を真っ直ぐ見て語りかけた。そして「東京」と「ロマン」を届けると、アンコールの「最前線」までを全力で走り切った。

上杉研太(Ba)

 この日、SUPER BEAVERはバンド初となるツアードキュメンタリーのリリースも発表。今までは見せてこなかった裏側までも見せるというその意思は、徹頭徹尾「あなた」と一緒に歩んでいるんだという信念がさらに強いものになったことを示しているように思う。これからもSUPER BEAVERは「持ちつ持たれつ」で進んでいく。こんな時代だからこそ、彼らの存在意義は果てしなく大きい。そんな思いを新たにした夜だった。

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