Mrs. GREEN APPLE、フェーズ2初のEP『Unity』がチャート好調 変革期経て到達したバンドスタイルからの解放

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-07-18/

 先週、初登場1位で約48.6万枚のセールスを記録したKing & Princeの『Made in』は今週4位に。累計でアルバムの売上は50万枚を超えています。とはいえ今週のトップ3はすべて初登場のニューアルバム。中でも、俎上に載せたいのは3位のこの作品です。

 ジャケットは淡いグリーンとピンクに縁取られた青空。円と直線が交わるオブジェ、水の球体とガラスのような破片。あとは石とオリーブ色の葉っぱ、桃色のふわふわした花のようなもの……それが何であると明確に言えないまでも、かなり想像力が刺激されるジャケットに、アーティスト名は表記されていません。

 少しだけ、このジャケをじっと見つめて作り手の姿を想像してみてください。NiziUや、もっと大人びたPerfumeに似合うかも。案外STUTSとかでもイケそうだし、海外のダブステップ名盤と言われたらそういうものがあった気もする。見れば見るほどイメージの膨らむこのジャケ、正解は、Mrs. GREEN APPLEの最新作『Unity』なのでした。

 若くしてデビューしたMrs. GREEN APPLEは、いわゆるギターロックバンドとして認知され、ギターロックの範疇にとどまらないポップネスを武器に飛躍していった5人組でした。全員が幼馴染みとか、高校の軽音部で出会ったという馴れ初めではなく、小学6年生で作曲を始めた大森元貴(Vo/Gt)がメジャーデビューするために、明確なイメージを掲げてメンバーを探したところが特異な点でした。とはいえ、ギターを掻き鳴らしメッセージを歌い上げる、その出発点は他のロックバンドと共通したものだったと思います。

Mrs. GREEN APPLE - StaRt

 そこからEDMやエレクトロが導入され、ときにオースケトラや管楽器が加わって、Mrs. GREEN APPLEのカラフルな快進撃は続きます。突き抜けた明るさは特筆すべき個性ですが、キラキラなダンスビートならKEYTALKなどがやってきたし、ストリングスをたっぷり使うアレンジはMr.Childrenが得意とする必勝パターン。そんな先輩たちの背中を追いかけながら国民的バンドになっていくのだと、かつては思っていました。

 転機は2020年。ベストアルバム『5』の発表と共に「フェーズ1完結」が宣言され、当面の活動休止へ。その翌年に大森がソロデビューし、年末にはドラムとベースの脱退が発表されました。怒涛の変革期を経てようやく始まった「フェーズ2開幕」が、今回のEP『Unity』です。先行シングルは「ニュー・マイ・ノーマル」。MVに見えるは、カラフルなメイクと髪の毛、爽やかな笑顔の数々、あとは演奏シーンの少なさ。断定はできませんが、このフェーズ2、バンドスタイルからの解放を意味するように思えます。

Mrs. GREEN APPLE「ニュー・マイ・ノーマル」Official Music Video

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