EXILE TAKAHIRO & SHOKICHIが語る、20年分の夢と感謝を込めた渾身の1曲 ATSUSHIと巡るドームツアーへの意気込みも
2001年9月27日のメジャーデビュー以降、メンバーの勇退や加入を繰り返しながら、音楽シーンの最先端を走り続けているダンス&ボーカルグループ EXILE。2021年9月27日よりデビュー20周年のメモリアルイヤーに突入した彼らが、5月27日にアニバーサリーソング「BE THE ONE」を配信リリースした。単独アリーナツアー『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』でもたくさんの感謝と共に届けた同曲は、どのようにして誕生したのか。作詞を担当したTAKAHIROと、作曲に参加したSHOKICHIに、その制作エピソードを中心に、後輩たちへの想いや7月6日からスタートするドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2022 "POWER OF WISH"』についても語ってもらった。(斉藤碧)
「EXILEが伝えてきた想いには一貫性がある」(TAKAHIRO)
――現在配信中の「BE THE ONE」は、5月10日に開催した『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』の大阪城ホール公演で初披露され、EXILEの20周年を華やかに彩っています。作曲されたSHOKICHIさんは、いつ頃からこの曲を作り始めましたか?
SHOKICHI:作り始めたのは去年だったかな。メンバーやスタッフさんたちと、『RED PHOENIX』ツアーと連動したリリースのプランを考えている時に、20周年ソングがあったら、ファンのみなさんに喜んでもらえるんじゃないかなっていう話になって。そこから構想し始めて、僕なりにトラックを作っていきました。最初にイメージしていたのはパレードですね。スポーツとかで優勝したら、優勝パレードをやるじゃないですか。それと同じように、EXILEが20周年を迎えられたことに対して、みなさんに感謝をしながら旅をしていく期間になると思ったので、その旅に似合う曲になればいいなと。マーチングを入れたいとか、オーケストラ調でセレブレイトできるサウンドになればいいなと思って作っていきました。
――トラックだけを聴いても“Love, Dream, Happiness”が溢れていますね。SHOKICHIさんのあたたかい人柄も伝わってきました。
SHOKICHI:ありがとうございます。お祝いにもってこいのサウンドとメロディになったんじゃないかなと思います。
――一方の作詞はTAKAHIROさんが担当しています。どういう経緯でTAKAHIROさんが歌詞を書くことになったんでしょうか?
TAKAHIRO:メンバー会議の時、SHOKICHIがこの曲のデモを聴かせてくれたんですけど、それにはすでに仮歌も入っていて、みんなで「良い曲だね!」って感動したんです。その中でSHOKICHIが「こういうテーマで曲を書いたから、作詞をTAKAHIROくんにお願いしたいです」と提案してくれたので、僕が歌詞を書くことになりました。とはいえ、最初は歌詞を書くのがすごく難しそうだなという印象がありましたね。メロディに合わせて作詞をするのもそうなんですけど、デモを聴いたメンバーのテンションがめちゃくちゃ上がっていたので、その期待に応えられるかな? というプレッシャーもあって。でも、SHOKICHIに任せてもらえたことが嬉しかったですし、EXILE20周年というタイミングで、オリジナルメンバーもいない中、彼と僕で曲を作り上げる手作り感がいいなと思いました。
――「BE THE ONE」の歌詞には、既存曲のタイトルや歌詞などが散りばめられていますが、どんな歌詞を目指して書き始めたんですか?
TAKAHIRO:今のEXILEのプレイヤーとして責任感を持って、ファンのみなさんと一緒にアニバーサリーイヤーをお祝いできる曲にしないといけないなと思って、20周年の歴史を1曲として感じていただけるような作品にしようと決めました。
――歌詞の内容の濃さから作詞の大変さが窺えます。
TAKAHIIRO:20年の歴史を「これでもか!」というくらい詰め込みましたね。僕、普段作詞をする時は意気込むことがないんですけど、今回は腕まくりをした気分でした。滅多に行かないカフェに1人で行ってみたり(笑)。
SHOKICHI:これ、カフェで書いたんですか(笑)?
TAKAHIRO:結局気が散って書けなくて、家に帰って書いたんですけど(笑)。それくらい試行錯誤しましたね。最近の曲はともかく、僕が加入する前の第一章からの楽曲を並べて振り返る機会ってあんまりないんですけど、20年分の楽曲のタイトルを見たり、歌詞を口ずさんでいると、いろんなことが思い出されて。それこそ第一章の曲は、自分がEXILEのファンだった頃を思い出して、エモい気持ちにもなりましたね。ファンの方ともこの気持ちを共感できたらいいなと思って、魂を込めて作詞に臨みました。
EXILEの楽曲には、その時代のメンバーの覚悟やメンバーそれぞれがそのときに胸に持っている想いや軸のようなものが投影されているんですが、これまでの楽曲を振り返って、EXILEがいつも伝えてきた想いには一貫性があるということに改めて気づきましたね。だから、時には同じフレーズが他の曲でも使われていたりする。点でバラバラな楽曲をまとめるのは難しいと思うんですけど、その一貫性のおかげで、1つの大きなテーマのもと歌詞を書けたなと思います。
――歌い出しの〈Your eyes only〉(EXILEのデビュー曲「Your eyes only 〜曖昧なぼくの輪郭〜」より)から心を掴まれますが、「この言葉は絶対に入れたかった!」という曲タイトルはありますか?
TAKAHIRO:「Your eyes only 〜曖昧なぼくの輪郭〜」は僕が加入する前の作品ですが、ファンの方とEXILEを結ぶ大事な曲だと思うので、僭越ながら冒頭の歌詞に持っていきました。「勝手にすみません!」みたいな気持ちもあったんですけど、僕の根底には先輩方への尊敬の気持ちがありますし、ファン目線で見ても「これは入れておかないと!」と。でも、ただタイトルだけを並べた曲にはしたくなくて、歌詞や今までファンのみなさんと一緒に見てきた景色、ライブツアーのタイトルやオリジナルメンバーのお三方(松本利夫、ÜSA、MAKIDAI)が出された書籍『キズナ』のタイトルだったり……いろいろな要素をフックアップして1曲にしていきました。
――ということは、曲頭から順番に歌詞を書き進めていったんですか。
TAKAHIRO:〈Your eyes only〉から始められたらいいなっていうのは、SHOKICHIに作詞をお願いされた時から、なんとなく思っていました。でも、時系列通りにタイトルを並べていくわけにもいかないので、次の歌詞をどう進めていったらいいか悩んで。なおかつ、この曲はリズムを立たせないといけない譜割りなので、子どもっぽくならないように、いなたくならないように気をつけつつ……いろんな曲の歌詞を口ずさみながら書いていきました。その結果、時代を行ったり来たりしながらたくさんの景色を届けられる、遊び心のある楽曲に仕上がったと思います。
初期EXILEヘのリスペクトを込めた展開に
――SHOKICHIさんは、歌詞を受け取り、どんな想いでレコーディングに臨みましたか?
SHOKICHI:TAKAHIROくんから歌詞を受け取った時は、胸が高鳴りましたね。「こんなに良いメロディだったっけ?」って思うくらい(笑)、素敵な歌詞が乗ったことでメロディが喜んでいるのを感じました。そしてレコーディングは、僕が歌う時にすでにTAKAHIROくんの声が入っていたので、その印象に自分の声色を寄せにいって。本来の自分の歌いやすいキーよりもちょっと上げめで、明るい声色で聴けるように意識しました。そうすることで、歌い出しのTAKAHIROくんの声の後で「お?」ってならないように、躓かない流れを作りたいなと思っていましたね。
――歌詞と声のハマリの良さを感じましたが、歌割はどうやって決めたんですか?
TAKAHIRO:アルバム『PHOENIX』を作っている時に、(NESMITH含む)3人の役割分担がどんどん見えてきた感じがあったよね?
SHOKICHI:うん、そうですね。
TAKAHIRO:だから、今回もそんなに悩まずに、ここは誰というのがすんなり見えました。ただ、この曲はパンチの効いた歌詞が次々にやってくるので、歌を集中して聴けるように、あまり細かく切らないように意識しましたね。その上で、場面を切り換えるようにボーカルが入れ替わることで、3人のキャラクターも立ったEXILEらしい楽曲になったんじゃないかなと思います。
――レコーディングはいかがでしたか?
TAKAHIRO:レコーディングは逆に無心でした。曲を受け取ってくださるみなさんに変な圧をかけたくなかったので、あんまり「ホラホラ!」ってドヤらないように(笑)。みんなが集まってくれるようなイメージと言いますか、「BE THE ONE」というタイトル通りみんなで1つになれる曲にしたかったので、明るいアプローチで自然に歌いました。2番の〈重ねる手と熱い情熱が〉というフレーズは、僕らが毎回ライブ前にやっている気合い入れのことなんですが、ここ数年はコロナ禍の影響でできない時期もあって。ファンのみなさんともなかなか直接お会いすることができなかったり、つらい想いをさせてしまったこともあったと思うんですけれど、心ではしっかり繋がっている。いつかまた明るい未来が来ることを信じていきたい――ライブではそういう未来に向けた希望も感じてもらえたらいいなと思って歌いました。
――同じく〈ほら FANTASY なステージに虹がかかるから〉も実際にあったことですよね。
TAKAHIRO:そうですね。スタジアムツアー『EXILE LIVE TOUR 2010 FANTASY』の時、ライブの最初のほうで雨が降って、屋外だから「うわー、大変だー!」ってみんな大騒ぎしてたんです。でも、途中で雨が止んで、ステージ上に『FANTASY』ツアーのロゴのようにリアルに虹がかかって! そのとき感動した記憶が鮮明に残っているので、ファンのみなさんにもワクワクしながら聴いてもらえたらいいなと思って書きました。
SHOKICHI:このフレーズは、ライブで歌っていても毎回グッと来ますね。しかも言葉とメロディのハマリ方が心地よいので、ものすごく画が見えるなって思います。
――そして、振付はs**t kingzのshojiさんが“受け継ぐ”“想いを込める”“その先へ”という3つのキーワードをイメージして制作されました。SHOKICHIさんとNESMITHさんは曲によってはダンスを踊ることもありますが、この曲でボーカルに徹しているのは、何か狙いがあるのでしょうか。
SHOKICHI:メロディアスな曲なので、激しく動いたら歌がブレるかなって……(笑)。
TAKAHIRO:素直!
――あははは。『RED PHOENIX』以降は、攻めのEXILEを表現するようなパフォーマンスが多かったので、ボーカルとパフォーマーという明確な役割分担を見せることで、初期のEXILEへのリスペクトを込めたのかなって思ったんですよ。
TAKAHIRO:言われてみれば、たしかに。
SHOKICHI:初めは歌を大事にしたくて、落ち着いて歌うことにしたんですけど、結果的にはそういう仕上がりになりましたね。