HYDE×coldrain、双方のリスペクトが生んだ伝説の一夜 Zepp Hanedaで繰り広げられた攻撃的なパフォーマンス

 2022年6月18日、19日の2日間にわたり、対バン形式のスタンディング ライヴハウスツアー『HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH』の東京公演がZepp Haneda(TOKYO)で開催された。HYDEがスタンディング形式でライヴを行うのは、コロナ禍に突入して以来、3年ぶり。18日はROTTENGRAFFTY、19日はcoldrainがそれぞれゲストとして登場し、ロック界のレジェンドであるHYDEと真っ向からぶつかり合った。本記事では、19日の模様をレポートする。

coldrain(写真=ヤマダマサヒロ)

 最初に勝負を仕掛けたのは、coldrain。荘厳なSEをバックに、見るからに気合いの入った表情のメンバーが登場する。最後に現れたMasato(Vo)が「やっちゃいますかー!」と叫び、「ENVY」からスタート。Y.K.C(Gt)、Sugi(Gt)が歪んだギターのリフを掻き鳴らすのを合図に、RxYxO(Ba)とKatsuma(Dr)の重厚なリズムに合わせ、観客たちは拳を突き上げる。圧倒的なライヴパフォーマンスを武器に数々のライヴを繰り広げてきた彼らは、この日も一瞬にして場を掌握し、気づけばフロアはヘッドバンギングの波。Masatoが「HYDE好きなやつ手ぇあげろ!」と煽るとフロア中の腕があがり、そのまま飛び跳ねる観客たち。その振動で会場は大きく揺れ、まるでコロナ前に戻ったような錯覚に陥る。炎を想起させるような真っ赤なライトが会場を照らしだすと、「MAYDAY」へ。ステージ前からはCO2が勢いよく噴き出し、さらにライヴのテンションを高めていく。

 ここでSEが挟まり、興奮状態だったフロアは一旦クールダウン。シリアスなムード漂うミドルテンポの「COEXIST」へと続き、静と動の両方の魅力を見せながら観客たちを引き込む。彼らが展開するライヴに圧倒された観客たちは、曲が終わったあとに「coldrainと言います。よろしくお願いします」と挨拶するMasatoへその感動を伝えるように拍手を送りつづけていた。

 Masatoは「マスクしなきゃいけないとか声出せないとか色々ルールはありますけど、現場の空気が今までのような汗臭くて、人の髪がぶつかりあって、ちょっとくらい触れ合って、“明日しんど!”っていう、そういう体験はコロナなんかに奪えはしません! 今日は直接対決! どんだけリスペクトがあって憧れがあっても、HYDEに負けねぇってことをここから証明してやるよ!」と気合い十分のメッセージを放つと、名刺代わりの曲「The Revelation」でフロアに再び火をつける。ヘッドバンギングと拳の嵐が巻き起こり、ライヴハウス特有のむんむんした熱気が漂い始める。さらに「もっと激しくても良さそうですね」とMasatoが笑いながら言うと、超スピードの「F.T.T.T」が始まる。加速するライヴにフロアは無我夢中、Y.K.Cの超絶技巧のギターソロでは「ギターソロは好きですか? 飛ばす人たちですか?」と最近SNSで話題になったネタに触れ、観客たちの笑いを誘う場面も。

(写真=ヤマダマサヒロ)

 その後も、ダウナーな世界観へ誘う「THE SIDE EFFECTS」、壮大でエモーショナルな歌声を響かせる「UNINVITED」と様々な表情を見せていくcoldrain。「めちゃくちゃ楽しいです、ありがとうございます」という言葉から始まった2度目のMCでは、MasatoがL'Arc~en~Cielへの思いを話し始める。「15歳のときに初めてギターを手に取って初めてスタジオ入って、楽器も弾けないのにやった曲がラルクでした。15年経って、一緒にやりたいって言ってもらえるところまで来たんだったら、夢を追いかけて正解だったなって答え合わせができた気がします。ちょっと上の先輩たちには冗談でさっさと道をあけてくれって言ってるんですけど、HYDEさん、一生やり続けてください」。そう熱く語ると、いよいよラストスパートへ。

 HYDEへのリスペクトと闘争心をむき出しにするように、「CALLING」「REVOLUTION」と激しい楽曲を立て続けにドロップ。観客たちは完全に己を開放し、coldrainの生み出す轟音に身を委ねていく。そして「PARADISE(Kill The Silence)」でお互いに全てを出し尽くし、この夜の前半戦は幕を下ろした。

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