DEZERTが打ち出した「#V系って知ってる」の秀逸さ X JAPAN YOSHIKIらも参加、シーン活性化につながるSNSの活用法

 「V系って知ってる?」。そう印字された巨大ボードが、渋谷駅前スクランブル交差点横のMAGNET by SHIBUYA109(旧109MEN’S)に突如出現した。

 これはV系バンド・DEZERTが6月18日に日比谷野外大音楽堂で開催するワンマンライブへ向けた宣伝広告である。赤髪のツインテールに濃いメイクをしたメンバーの写真が大きく写し出されているため、通行人への視覚的なインパクトがあるが、この広告で盛り上がったのはTwitterである。

 ボードの下部に書かれている“「#V系って知ってる」で好きなV系バンドを呟いてくれた方全員に→(QRコード)”というメッセージに則り、このハッシュタグを使ってV系について語る人々が続出したのだ。YOSHIKI(X JAPAN)やken(L'Arc〜en〜Ciel)など著名なアーティストもこのハッシュタグを使って呟いたことで、さらに拡散は加速し、初日の6月6日時点でトレンドに浮上。多くの“V系語り“がTwitter上に投稿されている。

 ライブの宣伝なら、バンド名や公演名などの直接的なワードをハッシュタグに使うのが一般的だが、今回彼らは“V系”とあえて大きなワードを使ったことで、DEZERT以外のV系バンドのファンや過去にV系が好きだった人々にまで参加者の層を広げた。V系のファン同士がSNSで積極的に交流することは案外少なく、むしろアカウントを非公開にしているファンも多い中で、このハッシュタグは、様々な層のV系ファンの声を一斉にインターネット上に引っ張り出した。これほど多くの人がV系に触れ、少なくとも一度は好きになったということが目に見えてわかるのは非常に感慨深い。

 実際にハッシュタグを辿ると、DEZERTに関する内容だけではなく、他のV系バンドについて語る投稿、時代問わず様々なV系バンドの名前をひたすら羅列した投稿、これまで通ってきたV系バンドの名前を並べた投稿、青春時代の思い出としてV系を語る投稿など、それぞれが自由にV系への思いを呟いている。名前が挙がっているバンドは具体例を書くのが難しいほど年代も規模も様々なので、ぜひ検索してほしい。X JAPANと-真天地開闢集団-ジグザグが一緒に語られているのは、このハッシュタグの投稿くらいではないだろうか。

 V系がSNSを賑わすことは、これまでもテレビ番組などをきっかけに度々あった。2021年放送の『マツコの知らない世界』(TBS系)で数々のV系バンドが紹介された際の盛り上がりは記憶に新しいし、YOSHIKIは『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系)を始めとする様々な番組に出演してはトレンド入りを果たしている。そんな中で、テレビの力ではなくアーティストとファンの力でムーブメントを起こすことができたことは、このプロモーションの大きな功績と言えるだろう。

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