KID FRESINO、Tohji、Dos Monos、Smerz……国内外アーティストが自然の中でパフォーマンス 『FFKT』をイラストでレポート

 5月28日、29日に『FFKT 2022』が開催された。場所は長野県の山奥、木曽郡木祖村にある「こだまの森」。国内外のアーティストが集まりオールナイトで行われるこの野外フェスは、2020、2021年が延期を経て中止され、3年ぶりの開催となった。国内からはD.A.N.や青葉市子、ペトロールズ、Dos Monosらが参加し、海外からはアンディー・ストット、ジョン・キャロル・カービー、Air Max’97らが来日。総勢約50組のアーティストが、夜は凍えるほど寒い4つのステージで熱気を帯びたパフォーマンスを披露した。本稿では筆者が観たステージをいくつかピックアップしてレポートする。

 まずはKID FRESINO。テレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』主題歌へのフィーチャリング参加でも一躍有名となった言わずもがなのライミング、ライブで一層冴え渡るフロウ、そして何より彼のバッググラウンドが醸すSorrow(悲哀)。「Arcades」も「Rondo」も「Girl got a cute face」も目の前で聴いていて思う。彼のスタイルは、空や地面を見て、少し歩きながら考えごとをしている人の姿に近い。だから過去のこと、将来のこと、今のことなんかを一緒に考えてしまう。今日ここに来られたことやよく晴れたことに、自然と感謝してしまうステージだった。

 続いてはTohji。ユースの熱狂を背負っている彼のパフォーマンスは圧巻だった。2022年5月時点での最新アルバム『KUUGA』からの楽曲中心の“KUUGAセット”×言葉数少ないアイコニックなアジテーションで、一気に会場の視線を釘付けにする。挑発的に屈んだり、大手を広げて空を仰ぎ見たりする姿に、自分だけではなく会場全体、世界全体がTohjiの虜になっている感覚がぼんやりと脳を支配して、もっともっと自分のものにしたくなってしまう。これがユースの旗手と言われる理由かと納得して、今は6月にリリースされた『t-mix』をしゃぶり尽くすように聴く毎日を送っている。

 熱くなった身体のまま、Dos Monosを迎える。3人(とこれまで連綿と繋いできた人類)が積み重ねた膨大な情報の山から切り出されたハイエンドな楽曲、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平氏とテレビの停波枠を使って仕掛けた最新アルバム『Larderello』のプロモーション番組『蓋』を展開するなど、シーンの輪郭をふやかし押し広げ続ける彼ら。グラフィックを駆使したカオティックなVJで場を支配し、確かなDJと即興的なエレキギターで足場を作り、凡人の一生なら一曲で語り尽くせてしまうようなマシンガンリリックを乗せる。11月にオランダのフェス『Le Guess Who?』への出演も決まっており、日本中が面を食らう日が近づいている。

 少し間が空いたため、会場を歩く。夜を越える『FFKT』は出店、フードコートも充実している。世田谷区喜多見に構える『beet eat』のビリヤニが食べられたり、日が落ち肌寒くなってきたところで豚汁やホットココアを燃料として注ぎ足したりすることもできる。あるいは、松陰神社や吉祥寺にあるKANNON COFFEEのコーヒーを啜って目を覚ます。仮眠を取れるキャンプ地だけでなく屋根のある休憩所なども用意されており、時間の使い方の幅がとにかく広いのがうれしい。

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