Kis-My-Ft2を好きになる『キスマイ超BUSAIKU!?』 異色の番組で培われたグループの基盤
前身の『キスマイBUSAIKU!?』含め、今年2月に放送400回を迎えた『キスマイ超BUSAIKU!?』(フジテレビ系)。2012年から数回にわたり特別番組として放送されたのち、好評を受けて2013年にレギュラー化。以降、放送時間帯や企画内容を変えながら、Kis-My-Ft2の代名詞と言える長寿番組となった。本稿では、同番組について振り返りながら、あらためてその魅力について考えてみたい。
今さらながら、異色の番組タイトルである。「誰もが認める“真のカッコイイ男”に」というテーマはありつつも、ジャニーズが背負う冠としては衝撃的だった。番組内容も、彼らの素顔というより“リアル”が見えるもの。賛否あったかもしれないが、結果、それが吉となったのは明らかだ。
現に、当時キスマイに詳しくなかった筆者もすぐに彼らの存在を認識したし、周囲も視聴し、注目していた人が多かった。ジャニーズにあまり興味のない層、なにより同性からの支持を得たことも大きい。ようやくデビューを掴み、いざこれからという段階にいた当時のキスマイにとっては、想像していた活躍ではなかったかもしれないがーー間違いなくグループの知名度を確固たるものとし、基盤を作った番組の一つである。
いつからか、ジャニーズアイドルの必修項目となったバラエティ番組。そのなかで『キスマイBUSAIKU!?』は、なにが新しかったか考えてみる。放送がスタートした10年前といえば、メンバーも20代前半。アイドルとしても人間としても、かっこよくありたい時期であっただろうし、かっこいいと言われたい時期でもあったはずだ。
番組内容が少々変化した今では、オチを引き受けるように振り切った“BUSAIKU”を見せることもある。だが、放送開始当初の彼らは紛れもなく真剣(ガチ)だった。自身が本当にかっこいいと思う内容で勝負して、リアルな自分たちを見せたからこそ、ジャニーズというギャップも相まっておもしろさが生まれたように思う。安定を狙いにいくことも、笑いに逃げることも、互いが許さない。真剣勝負ゆえに数々の名シーンや名セリフが生まれ、それぞれの個性が際立っていった。
当時のファンの思いは推察しかできないため述べることはしないが、一部の視聴者がジャニーズに抱いていたうがった視点は、対キスマイにおいては取り払われたことだろう。下位になりたくないと膝をついて祈るアイドルに、親近感を覚えないはずがない。番組内でダサい、かっこ悪いといった意見を突き付けられたメンバーは、ときに落ち込み、ときに必死で弁論する。一方で、褒められれば喜ぶ顔を隠さず、意気揚々だ。メンバー同士、特に下位争いでの、どんぐりの背比べのような煽り合いも見どころだった。ダサい、かっこ悪い。そうしたネガティブなはずの言葉を、彼らは自らの個性と姿勢をもって愛される要素へと変換していったのだ。