きゃない、「バニラ」バイラルチャート好調 等身大の“人間のうた”を形成する絶妙なバランス感覚

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(5月5日公開:4月28日~5月4日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:anees「sun and moon」
2位:Louis Vision, BBY NABE, Hinako Miura「Love’s Like A Western Song」
3位:星野源「喜劇」
4位:INI「CALL 119」
5位:なすお☆「ハニージェットコースター」
6位:汐れいら「センチメンタル・キス – Acoustic ver.」
7位:SawanoHiroyuki[nZk], 河野純喜 (JO1), 與那城奨 (JO1)「OUTSIDERS」
8位:INI「We Are」
9位:きゃない「バニラ」
10位:Lena「life was a beach」

 これまでも多くのヒット曲をいち早くキャッチアップし、トレンドセッターの役割を担ってきたSpotifyのバイラルチャート。単純な売上枚数や再生回数のみならず、SNSでの盛り上がりなどをSpotify独自のロジックで指標化したチャートだけあって、他の音楽チャートとは一線を画した先見性を持っている。今週のチャートを見てみても、目新しいネクストカミングの楽曲が多くランクインしたバイラルチャートらしいラインナップである。たとえば、初登場にして首位にランクインしているanees「sun and moon」。aneesは、アメリカ出身のインディーズシンガー/ラッパーで、ポップやヒップホップ、R&Bなどさまざまな音楽をジャンルレスに取り込んだ楽曲「sun and moon」が世界的なヒットとなっている。バイラルチャートのなかでも、全世界を集計範囲としたグローバル・バイラルチャートでは、最新のウィークリーチャートで3位にランクインするなど、日本だけでなく世界的に注目が集まっているようだ。そして、日本国内のアーティストに目を向けても、これからバズるであろう次世代のアーティストが多くランクインしており、そのなかでも特に注目したいのが、3週連続でトップ10圏内にとどまっている、きゃないの「バニラ」だ。

 きゃないは、2019年から活動を開始したソロシンガーで、路上ライブを活動の軸としながら実力をつけてきたアーティストだ。ブレイクスルーのきっかけになったのは、コロナ禍で思うように路上ライブができなくなったことを機にSNSで公開したオリジナル曲「イヌ」の路上ライブ動画。この動画が200万回再生を突破し、これまで路上ライブをしている地域に限定されていた認知を広げることに成功。逆境を味方につけたきゃないは、着実にファンを獲得し、自身初となるワンマンライブを新宿LOFTで開催するまでに成長した。そんな彼の魅力は、かざらない“人間のうた”にある。日々の生活のなかでの出来事や心の機微を、むやみに美化することなくありのまま言葉にした歌詞、すっと身体に染み渡るメロディ、そして優しさのなかにも芯のある揺るぎない力強さを感じさせる歌声。そのどれもが、きゃないにしか奏でることのできない音楽を形作っている。

きゃない - イヌ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

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