ZOC、METAMUSE改名に至るまでの道のり 成長過程を見せるアイドルから時代を作る存在へ
しかし特に個性的だった2人はグループを卒業しており、それぞれ別のグループで活躍している。そこから少しずつZOCのグループとしての在り方も変化してきたのかもしれない。改名理由の1つとして大森靖子は「楽曲を届ける一流のパフォーマーとしての在り方を追求するため」とコメントしている。つまり次のフェーズに入るために区切りとしての改名なのだろう。実際に今のメンバーはこれほどまでに音楽的素養があるメンバーが揃ったアイドルグループは珍しいとも思うほどパフォーマンス力が高い。
大森については言わずもがな、長年音楽シーンの第一線で活躍している唯一無二のシンガーソングライターでもある。藍染カレンはもともとバレエを習っていてパフォーマンス力が高かったことに加え、アイドルファンとしてZOCの活動へのモチベーションも高く、初期のグループのパフォーマンスを支えていたメンバーである。巫まろも素晴らしいパフォーマーだ。元スマイレージ、アンジュルムとして幼い頃からアイドル活動を続けており、それに納得するほどの高い歌唱力を持っている。ダンスや表情の見せ方もハイレベルだ。西井万理那も寸劇を交えたライブが特徴だった生ハムと焼うどんのメンバーとして活躍していた。そのため自身をステージでどう見せるべきかは熟知しており、ZOCでも存在感あるパフォーマンスを見せていた。性格は明るく、グループのムードメーカーでもある。ダンスパフォーマンスを引っ張っているのは雅雀り子だ。彼女は幼少期からモダンバレエを習っており、現在はソロでダンサー/振付師としても活躍している。もともと大森のライブにダンサーとして参加しており、ZOCとは初期から振付師として関わっていたが、2020年に正式メンバーとして加入することになった。バレエの影響を感じるしなやかなダンスと個性的な振り付けは、グループのパフォーマンスをさらに鮮やかに彩る要素になっている。
2021年に新メンバーとして加入した2人も加入当初から才能をいかんなく発揮している。オーディションによって加入した鎮目のどかは芸能活動の経験がない。しかし幼少期からピアノとトランペットを習っており、トランペットでは県大会で優勝するなど音楽の素養をしっかりと持っているのだ。ソロ曲「Fake baby」では可愛らしく透明感ある歌声の持ち主だと実感でき、アイドル的な魅力を持ちつつもボーカリストとしての伸び代も感じる歌唱だ。加入してまだ半年程度ではあるが、吉良乃ジョナはこれからグループを引っ張る存在になるかもしれない。彼女は「ミスiD2020」で大森に歌唱力の高さを評価されていた。クールさを感じる歌声が印象的で、Twingowindというバンドではボーカリストとしても活躍している。ロックな楽曲が似合う声質はZOCの楽曲とも相性が良く、楽曲の魅力をより一層引き立てている。
今のZOCは日本のアイドルグループとしては一般的となっている「成長物語」とは違うフェーズに入ったのだ。パフォーマンスの能力値が高いメンバーが中心となり、さらに高みを目指すグループとなっている。そうなるとZOCとはコンセプトが異なってくるため、改名は必然なのかもしれない。グループにとって改名は大きな出来事だ。不安になるファンもいるかもしれない。しかし理由は希望に満ちているし先に進むためのことだ。きっとMETAMUSEとなった彼女たちは、さらに新しい景色を見せてくれることだろう。