さとうもか、観客を夢の世界へ誘った念願の“パジャマパーティ” 音楽を続ける決意も語ったワンマンライブ

 3月2日に配信リリースされたばかりの新曲で、少しずつ損なわれていく愛を綴ったローファイなR&B「愛はもう」からパーティは後半戦へと突入。ファッション(パジャマ)チェックも兼ねたバンドメンバー紹介を経て、長い夢の終わりの予感を孕んだ「ばかみたい」ではミラーボールが回る中で心地よいグルーヴに合わせて自然とクラップが湧き起こる。本当の自分を見失うほど矛盾だらけの恋愛に振り回されながらも、幸せを探して彷徨う「愛ゆえに」ではブルージーにたゆたい、一生平凡に過ごすはずだった女の子がステージに立ったことで人生を激変させる「歌う女」では軽やかにスイング。目を手で覆い、〈変わるのは当たり前/こわがらないでよね〉とアカペラで歌唱した後、最後に「メジャーデビューの発表から1年。これからも頑張っていきたいと思います。音楽をずっと続けられたらいいな」と改めて決意を表明し、〈夢はきっといつか叶うよ〉というフレーズから始まり、ベッドの上で歌っていた彼女の幼少期を連想させる「Wonderful voyage」でパーティの幕は閉じた。ベッドルームを舞台にした『Pajama Party』で、2018年にリリースしたインディーズ1stアルバム『Lukewarm』に収録されていた「old young」でライブを始め、「Wonderful voyage」で締め括ったのは意図的なものだろう。夢が終わって、人生が始まる。音楽が好きで、歌うことが好きな彼女の〈長い旅〉=音楽人生はまだ始まったばかりなのだ。

 アンコールでは、「愛はもう」と同じく3月2日に配信リリースされた新曲「舟」のMVがサプライズで公開された。天使の格好をした小さな女の子(一人だけ輪っかをつけていない)が、島を離れてしまう大好きな男の子を見送るために、ミモザを持って海まで走る映像となっていた。さとうは「4年前に作った、すごく思い入れのある曲です。大学生の時に、毎日、楽しかったり、新しかったり、それまで知らなかった気持ちをたくさん知って。絶対に忘れないようにしようと思っていたけど、新しい場所に行くと、新しい思い出がどんどん増えて、一生忘れたくないと思っていたことも鮮明には思い出せなくなってきて。それが、悲しいなと思って。忘れたくない、ずっと覚えておきたいという思いを残した曲です」と語り、1番はアコースティックギターの弾き語りで、2番はバンドアンサンブルを加えてパフォーマンス。誰の元にも訪れる別れを前向きに捉え、大切な人の背中を押すような優しさと温かさを切々と表現した後、第1部で対バンしたぜったくんが、スペシャルゲストとしてステージに登場。「最低な日曜日」を「最高な水曜日」と変えて歌ってパジャマ姿の観客を踊らせ、「帰ったらゆっくり寝るんだぞ。おやすみ。バイバイ」と手を振って、笑顔でステージを後にした。

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