BEYOOOOONDSは唯一無二のハイブリッドなアイドルへ 今できることをすべて詰め込んだ初の日本武道館公演

 BEYOOOOONDSが4月25日、自身初の日本武道館単独公演『BEYOOOOOND1St CONCERT TOUR どんと来い! BE HAPPY! at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!』を開催した。本公演は、3月26日よりスタートした初の単独コンサートツアー『BEYOOOOOND1St CONCERT TOUR ~どんと来い! BE HAPPY!~』の一環として行われたもの。ここでは武道館公演の模様をレポートする。

 会場に入ってまず目につくのは、アリーナ中央に設置されたステージだ。360度全方位を客席が囲むレイアウトは近年のハロー!プロジェクトによる武道館コンサートではすっかりおなじみになったスタイルだが、ステージ上にグランドピアノ(とショルダーキーボード)が鎮座している光景はBEYOOOOONDSならではと言える。ステージ上空には4面LEDスクリーンが設置され、開演前にはカスタネット練習ムービーなどが映し出されていた。本公演では観客の発声に代わるものとして一部演出でカスタネットの使用が推奨されており、公式グッズとしても販売。多くのファンがマイカスタネットを携えて会場に集まっていた。

 本編に先立ち、まずオープニングアクトのOCHA NORMAがステージに登場。「恋のクラウチングスタート」を元気いっぱいにパフォーマンスしたのち、開演時刻を迎えた。オープニングムービーとともにBEYOOOOONDSの12人がゆっくりとステージ上へ姿を現し、それぞれが立ち位置に収まる。すると、おもむろに各人から「さあ、後悔しないように楽しもう! たとえ声にできなくても、私たちには、僕たちには、手がある」とのメッセージが演劇仕立ての口上として述べられていく。そしてグランドピアノ前に陣取った小林萌花が厳かに鍵盤を叩き始め、「英雄〜笑って!ショパン先輩〜」のパフォーマンスがスタート。小林のピアノのみならず清野桃々姫のボイスパーカッションもフィーチャーしたこの楽曲で、フレデリック・ショパンの残した美しい旋律とともにこの特別なコンサートは華やかに幕を開けた。

 続いて、本ツアーより披露されている新曲「虎視タンタ・ターン」、江口紗耶がエクササイズ指導員として奮闘する「Go Waist」、アッパーなダンスチューン「ニッポンノD・N・A!」、卑近な論争を壮大なロックオペラに昇華した「きのこたけのこ大戦記」といった個性的なレパートリーを連投したのち、ライブはユニットコーナーへ。高瀬くるみからBEYOOOOONDSというグループが3ユニットからなる連合体であることが改めて説明されたのち、各ユニットがメドレーを披露。まず雨ノ森川海(高瀬、前田こころ、山﨑夢羽、岡村美波、清野)がロックテイストのクールな楽曲群で会場をヒートアップさせ、続くSeasoningS(平井美葉、小林、里吉うたの)はユニット名が未定だった時代を自虐的に歌った「We Need a Name!」の現状アップデート版を含む2曲で表現力を存分に発揮する。そしてCHICA#TETSU(一岡伶奈、島倉りか、西田汐里、江口)はシティポップテイストのキュートな王道アイドルソングでオーディエンスを魅了した。

 ユニットコーナーを終えると、BEYOOOOONDSの独自性を凝縮させた演目・“ハイブリッド寸劇”がスタート。「眼鏡くんは罪なやつ」と題された本コーナーは、デビュー曲「眼鏡の男の子」で前田が演じる美少年・“眼鏡くん”にまつわる楽曲群がストーリー仕立てで展開される。「眼鏡の男の子」のほか「文化祭実行委員長の恋」「恋のおスウィング」「四年バンジージャンプ」(原題は「元年バンジージャンプ」)といった楽曲が、寸劇を挟みながらミュージカルのように次々とパフォーマンスされていく寸法だ。そして「そもそも寸劇をやるアイドルってなんなの?」という切実な心情を綴ったポップチューン「こんなハズジャナカッター!」で、本コーナーを軽やかに締めくくった。

 ここからステージはラストスパートに突入。大航海時代を思わせる大仰なムービーを経て披露された「激辛LOVE」や、なぜかステージのはるか上空から吊されて降りてきたハムカツを西田が無邪気にかじる「ハムカツ黙示録」をはじめ、「Now Now Ningen」「恋愛奉行」「ビタミンME」「フレフレ・エブリデイ」と、エスニックなナンバーからレゲエ、スカ、テクノ、カントリーなど、さまざまな国籍の音楽要素を取り入れた多種多様なレパートリーが変幻自在に連発されていく。さらに疲労がピークに達しているであろうタイミングでBPM最速の部類に入る「アツイ!」を差し込むなど、挑戦的なセットリストを展開した。

 そして本編ラストに選ばれたのは、本ツアーのために用意された新曲「オンリーロンリー」。〈また遊ぼうね〉のリフレインが印象的な、スタジアムロックテイストのスローナンバーだ。ラスサビ後には「ラララ」コーラスのパートもあり、おそらく本来はファンを巻き込んだ大合唱をもって完成する楽曲として制作されたものと推測できる。その光景が現実のものとなる未来への希望をにじませながら、BEYOOOOONDSは一旦ステージをあとにした。

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