神山羊は2020年代ポップスの最新型に “クローゼット”から世界へ羽ばたく1stフルアルバムを考察

神山羊は2020年代ポップスの最新型に

 アルバム『CLOSET』には、TVアニメ『空挺ドラゴンズ』(フジテレビ系)オープニングテーマに抜擢されたメジャーデビューシングル曲「群青」など、メジャーデビュー以降にリリースされた5曲も収録されている。

神山羊 - 群青【Music Video】/ Yoh Kamiyama - GUNJO

 ここで指摘すべきはサカナクションからの影響だろう。「群青」にはサカナクションのベーシスト 草刈愛美が参加している。エレクトロやダンスミュージックとロックを融合してJ-POPのフィールドで響かせたサカナクションを先達としてリスペクトしつつ、そのポップスとしての在り方を継承する意志を感じる。

神山羊 - 色香水【Music Video】/ Yoh Kamiyama - Irokousui

 TVアニメ『ホリミヤ』(TOKYO MXほか)オープニングテーマの「色香水」も神山羊なりのポップスへのアプローチを示すような一曲だ。参照軸にあるのはYMOを筆頭にした80’sの“テクノ歌謡”サウンド。そういう日本語の歌の情緒をトラップ以降のセンスを持つビートメイクでアップデートしたようなサウンドになっている。「仮面」にも80年代歌謡曲のテイストを感じる。

神山羊 - Laundry【Music Video】/ Yoh Kamiyama - Laundry

 また、アルバム収録曲で印象深いのはローファイ・ヒップホップのダウナーなムードを配した「煙」や、インストゥルメンタルの「O(until death)YOU」といったナンバー。四つ打ちのビート、アップテンポな曲調だけでなく、こういうメロウで内向的なブレイクビーツも神山羊のサウンドクリエイターとしての魅力になっている。「Laundry」もそういうタイプの曲だ。

 全13曲のサウンドや曲調はバラエティに富んでいる。多彩なジャンルにトライしつつポップスであることにこだわる信条、そしてその軸となる「クローゼットから“あなた”に会いに行く」というマインドが、神山羊のアーティストとしてのアイデンティティと言っていいだろう。

 「ワンルームから世界へ」という言葉が、ネットカルチャーの台頭によって一般的になったとはいえ、世界で目覚ましい成果を上げている日本人ミュージシャンはまだ多くない。神山羊がJ-POPのクリエイターとして、日本にみならず世界へと広がっていく、そんな確信を持てるアルバムが『CLOSET』だ。

■リリース情報
神山羊『CLOSET』
4月27日(水)発売
・初回盤【CD+PHOTOBOOK】¥4,000(税別)
・通常盤【CD】¥3,000(税別)
<Track List>
1.YELLOW -CLOSET ver.-
2.セブンティーン
3.色香水
4.Girl.
5.青い棘 -CLOSET ver.-
6.煙
7.O(until death)YOU
8.群青
9.仮面
10.CUT -CLOSET ver.-
11.SHELTER
12.Laundry
13.CLOSET

神山羊 オフィシャルサイト

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