aespa、コーチェラで見せつけた圧倒的な存在感 夢の舞台で勝ち取った不動のポジション

aespa、コーチェラでの圧倒的な存在感

「カリナ、ウィンター、ジゼル、ニンニンからなるこのガールズグループは数々の記録を残し、(今後も)すぐに後退はしないだろう。デビュー2年目に入って間もないaespaは、すでに自身の基準を高めており、そのような行為を恐れてはいない」(※1)

 上記のコメントはイギリスの音楽専門誌『NME』の公式サイトで2021年12月28日に掲載されたものである。伝統があり世界的にも有名な同メディアが韓国のニューフェイスを取り上げること自体がセンセーショナルだが、辛口な批評は一切なく、ポジティブなワードを散りばめて評価している点も“異例中の異例”と言えよう。

 このように海外からも熱い視線が注がれるK-POPガールズグループ・aespaは、音楽シーンに登場してから1年半ほどにもかかわらず、リリースする作品すべてがワールドワイドなヒットを記録。独自のコンセプトや各メンバーの一挙手一投足にも国内外の関心が集まり、音楽的な面以外でも話題に事欠かない存在となっている。

 短期間でビッグネームとなった彼女たちは今年4月、自らがセッティングしたさらに高いハードルを越えるべく、とっておきの舞台をセレクトした。それが『Coachella Valley Music and Arts Festival』(以下『コーチェラ』)への参加だ。

 『コーチェラ』は毎年春に米カリフォルニア州で開催される世界最大級の野外フェスティバル。旬のアーティストが多数出演する人気イベントであり、BLACKPINKがメタル系のバンドをしたがえて出演した2019年のステージで、K-POPファンにも広く知られるところとなった。

 アジア系のアーティストを積極的に紹介するレーベル<88rising>による企画ステージへの参加ではあるが、他にもCL、そして彼女も在籍し、このたび久しぶりに復活した伝説のガールズグループ・2NE1なども同企画に加わったことからも(いずれもWeek1に出演)、今回のステージがK-POP史に深く刻み込まれ、多くの人の記憶に残ったのは間違いない。

 いくら人気があるとはいえ、新人グループの『コーチェラ』出演はまさに“異例中の異例”だ。しかしながらそこに至る足跡をたどってみると、aespaはデビューからずっと前人未踏の地へ足を踏み入れるイノベーターだったような気がする。

 彼女たちは2020年秋、現実と仮想空間を結びつけるAIをモチーフにしたサウンドとビジュアルで現れた。これはコロナ禍でメタバース(3Dの仮想空間およびそのサービス)を積極的に推進してきた所属事務所・SMエンターテインメントならではのコンセプトであり、過去にも似た方向性を持ったガールズグループはいたものの、ここまで徹底してAI的な世界観を作り上げたのはaespaが初めてだと言えよう。

 スタイルの特異性からか、その存在は早い段階から海外でも注目を集め、デビュー曲「Black Mamba」(2020年11月)は世界95カ国でヒットチャート入りを果たし、なかでも中国最大の音楽サイト『QQ MUSIC』の韓国チャートでは3週連続1位に。スペシャルシングルを挟んで発表した「Next Level」(2021年5月)では、反復する重いビートと硬質なボーカルでグループの近未来的な魅力をアピールした結果、前作を超えるチャートアクションを起こしている。アバターとの共演を前提にしたパフォーマンスもこの頃にほぼ完成形を迎え、K-POPの定番から離れたダンスフォーメーションはaespaの最大の強みとなった。

 個性を確立した作品といえば、やはり1stミニアルバム『Savage』(2021年10月)だろう。前作「Next Level」で打ち出したスタイルをよりシンプルにわかりやすく提示したことが功を奏し、国内外でメガヒットを記録。本作は米チャート、ビルボード200で20位にランクインし、同時にアメリカのテレビ番組やイベントを通じて海外での知名度が急上昇した。

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