ハンブレッダーズ、ワンマンツアー『ギター!ギター!ギター!』TDCホール公演レポ 飾らずに自分たちの信じる音楽を鳴らす姿

 ハンブレッダーズが、アルバム 『ギター』のリリースを記念したワンマンツアー 『ギター!ギター!ギター!』を開催。初めて全国を回る全11公演に及ぶツアーで、さらに7カ所の追加公演も行われた。今回はツアー本編最終日となった3月15日TOKYO DOME CITY HALL公演の様子をレポートする。

 ムツムロ アキラ(Vo/Gt)、でらし(Ba)、木島(Dr)にサポートギターのうきを加えた4人がステージに姿を表す。ムツムロが「スクールカーストの最底辺から青春を歌いにきました、ハンブレッダーズです。よろしく」とお決まりの言葉を告げ、木島が両手を挙げるとライブスタートの合図。1曲目は、アルバム『ギター』のオープニングも飾る「再生」だ。大好きな音楽さえあれば無敵になれると歌った、まさに彼らを象徴するような曲だ。リスナーも一斉に手を挙げ、早くも会場には一体感が生まれていた。うきは序盤からキレのあるサウンドを鳴らし、でらしが奏でるベースの低音も心地よく響く。

 「みんながいつも登下校中や通勤中に聴いている音楽、今日ここでいっぱい鳴らします」とムツムロが宣言し、「ギター」「ユースレスマシン」「アイソレーション」とアップナンバーを容赦なく畳み掛けていく。ステージを自由に動き回るでらしとうきの姿は、見ているだけで元気をもらえるほどエネルギーがみなぎっていた。

ムツムロ アキラ

 小さなライブハウスのステージに立ち冗談で言っていた「2階席~!」という掛け声を実現するときが来るとは思わなかったというトークなどを挟み、爽快でエネルギッシュな「COLORS」を披露。また、木島が鳴らすフロアタムのサウンドをふんだんに取り入れ、エモーショナルに仕上げた「スローモーション」では、メロディックなサウンドとオレンジの照明が相まって、なんともドラマチックなプレイを見せた。

木島

 『ギター』の曲を中心に展開された本ライブでのハイライトは間違いなく中盤で奏でられた「ガチャガチャ」だと思う。ここで彼らが豹変したと言っても過言ではない。ライブならではのアレンジを仕込ませたイントロで観客を釘付けにし、アグレッシブな演奏やスモークの演出で攻めの姿勢をこれでもかと見せつける。音源を聴いたときからどうライブで化けるのか特に楽しみにしていた楽曲ではあったのだが、ただただ圧倒されるばかりだった。そんなクールな演奏スタイルとは裏腹に、ガチャガチャ(カプセルトイ)について歌っているというのもとてもユニークである。

 新しい一面をしっかりリスナーに見せた後はまた一変し、「名前」や「天国」といった楽曲をしっとり奏でるセクションへ。前面に出した歌メロを支える演奏力も抜群だ。

 MCでは「自分たちが今思ってることや悩んでいたことを全部吐き出したアルバムだったので、それを聴いて集まってもらえていることに対して感謝しかないです」と改めてお礼を述べたムツムロ。また、「これだけ多くの人が応援してくれていることが不思議だ」と漏らすでらしに対して、ムツムロが「それだけのアルバムを出した自負はあるので」と答えるシーンも。

 続くブロックのスタートは「プロポーズ」から。プロポーズをする日の様子をロマンチックに描いた、幸福感あふれる1曲だ。うきがかき鳴らすギターソロもバッチリ決まっている。「まだまだ踊れる人いますか?」という声かけに対してリスナーが手を挙げて応えると「あ、そうですか。じゃあまだ踊ってもらって大丈夫ですので」とゆるいテンションで返しつつ、「ライブハウスって楽しみ方は自由なんで、好きなように楽しんでってください」とハンブレッダーズらしいひとことも。どれだけ有名になっても会場が大きくなっても、これまでのライブハウスでのライブと変わらない姿勢に安心感を覚える。そんなMCに続いてはでらしの華麗なスラップが披露され、「ワールドイズマイン」へ。うきのギターソロでは、ムツムロとでらしも含めた3人が一斉に前に出て音を鳴らす微笑ましい場面も見られた。

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