U2の新曲、長澤まさみの歌声……物語を進め、心を満たす『SING/シング:ネクストステージ』の音楽

 2017年に日本公開、音楽の力を通してさまざまな困難を乗り越え、人生の目標やアイデンティティを見いだしていくキャラクターたちの姿を、多様な洋楽ヒット曲などを交えて描き、日本でも興行収入51億円超えを記録するほどのヒットを記録した『SING/シング』。前作で見事に成功をおさめた彼らの“その後”を描いた続編『SING/シング:ネクストステージ』が公開された。今回も、あの愛すべきキャラクターたちが登場しているほか、新たな波乱を巻き起こす存在も登場。再び、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも、それぞれが人生の新たな目標を探し出していくまでの過程を描いている。また、前作で世界で唯一許可されたという全編日本語吹き替え版も引き続き製作され、内村光良(ウッチャンナンチャン)を筆頭に、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)などが続投しているほか、ジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、振付師のakane、さらには声優初挑戦となる稲葉浩志(B'z)も物語を左右する伝説的シンガーソングライターであるクレイ・キャロウェイ役(英語版ではU2のボノが担当)として登場するなど、かなり豪華なラインナップとなっている。

『SING/シング:ネクストステージ』本予告|日本語吹替キャスト完全版

 そんな超豪華なラインナップで、前作以上にパワーアップして笑いや感動を届けてくれる『SING/シング:ネクストステージ』。その物語において重要な役割を果たしているのが、劇中で披露されるさまざまな音楽だ。前作でも、ヒット曲を中心に展開されていたが、本作でもU2による書き下ろしの新曲を含め、より聴きごたえのある選曲となっており、映画館がライブ会場になったのかとか勘違いしてしまうほどの興奮を味わえるはずだ。そして物語を飾る珠玉の楽曲を揃えた『シング:ネクストステージ - オリジナル・サウンドトラック』も日本公開と合わせて発売された。

【和訳】U2 - Your Song Saved My Life / 映画『SING/シング:ネクストステージ』挿入歌

 U2の新曲であり、本サントラのリードトラックである「ユア・ソング・セイヴド・マイ・ライフ」は、U2らしいスケール感のあるサウンドでありながらも、ボノのファルセットを生かしたイノセントなボーカルなど、すべての人や物事を優しく包み込むような雰囲気が漂うピースフルな仕上がりに。同楽曲からも、本作が前作以上にスケールの大きな物語へ進化していく様子が伝わってくる。

 その後、プリンスやエルトン・ジョン、ディオンヌ・ワーウィックといった長年親しまれているポップスから、ザ・ウィークエンドやビリー・アイリッシュ、ショーン・メンデスなど現代を代表する楽曲が、オリジナルや英語版に登場した声優たちによるカバーなどで構成される。特に、テイラー・スウィフトやエミネムらのヒット曲が数珠繋ぎになっているシング:ネクストステージ・キャストによる「オーディション・メドレー」は、誰しもが聴き覚えのあるはずのフレーズの連続で、身体が自然に動いてしまうこと確実だ。

 ほかにも、ラテンなビートが開放感を与えるサム・アイ feat. アニッタ、BIA&ジャリーナ・デ・マルコによる「スエルタテ」、日本でもテレビCMに使用されお馴染みの『ロメオとジュリエット 組曲第二番』より「モンタギュー家とキャピュレット家」をサンプリングしたダンストラック、アダム・バクストン with ファンシー・フィーリングス feat. DSCOSTU「ティッピー・トーズ」といった本作のために書き下ろされた新曲も収録。作品をさらに華やかなものにしている。

Sam i feat. Anitta, BIA & Jarina De Marco - Suéltate (From Sing 2) (Official Video)

 そんな本作のなかでクライマックスと言えるのが、U2が1987年に発表した楽曲「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー(終りなき旅)」のボノとスカーレット・ヨハンソンによるカバー。スカーレットの優しい歌声からスタートし、やがて迫力のあるバンドサウンドやボノの歌声も加わっていくドラマティックなナンバーだ。原曲を知らなくても、思わず口ずさみたくなるメロディに心が奪われると同時に、ふたりが演じるキャラクターの関係性、さらにはオリジナルのリリースから35年が経過しさまざまな旅路を歩んできたボノの音楽人生にも思いを巡らせてしまう、感動の1曲に仕上がっていると思う。

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