PARED×堂村璃羽、仲間としての強いつながり 理解し合う関係ならではの音楽活動や楽曲制作を語る
「テレフォン・ラブ」は博多弁が共感性を高めるポイントに
ーーPAREDさんの1stアルバム『Room Night』のテーマは“夜に聴きたい曲”だそうですね。
PARED:僕自身が夜型で、夜の思い出がたくさんあるんです。門限を守らず友達と遊んだりとか(笑)。PAREDとしてアルバムを作ることになって、「一生残るモノだし、PAREDがこの時代に生きていた証を残したい」と考えたときに、自然と「夜の物語をつぎ込みたい」と思って。
ーー楽曲のなかで描かれているストーリーには、PAREDさん自身の経験も反映されているんですか?
PARED:そうですね。堂村さんに歌詞を書いていただいた「テレフォン・ラブ」は“寝落ち通話”を描いているんですけど、僕自身も以前、経験したことでもあって。コロナ禍になって“好きな人と会えない”ということも多かったと思うし、この時代ならではの恋愛を表現できたのかなと。
堂村:僕としては(作曲の)みきとPさんと共作できることも嬉しかったし、PAREDの成長を間近に見てきた一人として、二つ返事で引き受けました。“夜のイメージ”という話は最初からあったし、“電話”や“寝落ち”という言葉を含めて、オンラインの恋愛をテーマにして歌詞を書かせてもらって。すごくスムーズでしたね。
ーー曲のなかに男女のセリフが出てきますが、福岡出身のPAREDさんならではの博多弁で話していますね。
PARED:そうなんですよ。東京と福岡の遠距離恋愛という設定ということもあって、レコーディング中に堂村さんが「博多弁にしてみたら?」と言ってくれて。
堂村:まわりのみなさんは「え、大丈夫?」みたいな雰囲気だったけどね(笑)。PAREDはボーカルブースにいて、こっちの話が聞こえてなかったんですよ。あまりいい反応じゃなかったけど、「1回やってみたいです。使わなくてもいいんで」ってやってもらったら、すごく自然だったんですよね。PAREDが地元にいるお母さんと電話で話していると、方言が強めなんですよ。その話し方がすごくいいなと思っていたし、曲のなかのセリフを標準語で話しているのは違和感があったので。
ーー「博多の人なんだな」と一瞬でわかるし、曲のフックにもなっていますよね。
堂村:みんな、方言好きじゃないですか。関西弁は耳馴染みがあると思うけど、博多弁に接する機会は少ないだろうし、ここは押していこうと。
PARED:博多弁って、敬語で話しているとなかなか出てこないんですよ。関係性が近くなってタメ口になると自然と出てくるし、確かに電話で彼女と話すときは方言のほうがいいなって。アルバムのなかでもいちばん共感してもらえる曲になったと思いますね。好きな人と電話して、「切りたくない」という経験をしたことがある人も多いだろうし、僕自身も歌っていてすごく突き刺さって、切ない気持ちになりました。
堂村:すごくいい曲になったと思います。特にCメロの部分。急に静かになって、優しく歌いながら、高い音域を保たなくちゃいけないパートなんですが、そういう歌い方はPAREDの課題だったんですよ。プロデュースのお手伝いをするようになってから、ずっと懸念していた部分だしーー優しく歌うのが得意ではなかったのでーーそれを克服するために、それこそみきとPさんの曲をカバーしたり。ずっと「練習したほうがいい」と言ってたんですけど、「テレフォン・ラブ」はしっかりと歌いこなせていて。新しいリスナーの方には最高の状態で聴いてもらえると思うし、従来のファンが聴けば、PAREDの成長ぶりを感じてもらえるんじゃないかなと。
ーーシンガーとしての成長の過程も見せたい?
堂村:そうですね。ずっと応援してくれている方々は、再生数などの数字の伸び、歌唱力など含めて、成長ぶりを間近で見てくれているので。
PARED:「テレフォン・ラブ」のレコーディングに対しては多少、不安があったんですよ。デモ音源は堂村さんが歌ってくれたんですが、その完成度がすごく高くて。それを超えようとするのではなくて、自分の世界観でどう表現するかを考えていました。曲の内容をしっかり紐解いて、違和感なく自分らしさを出せるように研究したというか。結果、満足できる楽曲になってよかったです。
ーーアルバム『Room Night』には「テレフォン・ラブ」のほか、「堕天」(作詞・作曲:こめだわら)、「ポラリス」(作詞・作曲:ミト)、「透明なフィルム」(作曲:神前暁/作詞:広川恵一)などのオリジナル曲、「シャンティ」(wotaku)、「ブルーバード」(いきものがかり)、「痛いよ」(清竜人)といったカバーも収録。幅広いボーカル表現が楽しめる作品だなと。
PARED:以前は強く歌うことばかりになってしまっていたんですけど、堂村さんに「それ以外の表現を身に付けたほうがいい」とアドバイスしてもらって、少しずつやってきて。その成果が出たのかもしれないですね。
堂村:PAREDは本当に努力家ですからね。こっちが言ったことを忘れていても(笑)、いつの間にかできるようになっていたりするし。今回のアルバムはその集大成だと思います。