UVERworld、今の6人がリスナーへ届ける洗練されたメッセージ サプライズも飛び出した『彰生誕祭』

 昨年末、怒涛のライブスケジュールを見事に駆け抜けてみせたUVERworld。彼らは、たとえコロナ禍であろうと、いや、こうした逆境の中だからこそ、今できる最高のライブの形を模索しながら、いつものようにステージの上に立ち続けている。メンバー6人とスタッフたちのライブへの姿勢はずっと一貫していて、そうした頼もしい姿は、この先行きの見えない不透明で不安定な時代を生きるリスナーたちにとって、果てしなく輝かしい希望となっている。

 そしてUVERworldは、もちろん2022年も、その足を止めることはない。今回は、1月末から始まったツアー『UVERworld LIVE HOUSE TOUR 2022 ~NEVER ENDING WORLD~』の終盤戦、3月8日のZepp Haneda公演2日目の模様をレポートしていく。

 本公演には、まさにこの日に誕生日を迎えた彰(Gt)の生誕祭という大切な意義があった。これまでの各メンバーの生誕祭と同じように、この日のセットリストは彰が組み上げたものではあるのだが、なんと1曲目から、メンバーから彰に対するサプライズが送られた。バルーンを手にした青山テルマと愛笑むがステージに登場し、驚きのあまり唖然とする彰を祝う。そしてそのまま「SOUL (feat. 青山テルマ & 愛笑む)」へと突入。冒頭から、観客にとっても彰本人にとっても予想外の嬉しい展開だ。「びっくりした?」というTAKUYA∞(Vo)の問いに、彰は「最高っす」と喜びを表した。

 今回のツアーでは、10年以上前のキャリア初期の楽曲が次々と披露されている。これまで長い間、ツアーやフェスにおけるセットリストは、いくつかの特別な公演を除いて「その時の最新のUVERworldのロックを提示する」という想いが貫かれていたように思う。それは、6人なりのファイティングポーズであり、そうした闘争心をエンジンにして走り続けながら、彼らは自らを取り巻く状況を一つずつ覆してきた。しかし、2019年12月の『KING'S PARADE 男祭り FINAL』を含めた2本の東京ドーム公演で、その闘いに一つの区切りが付いたのだろう。あの時、UVERworldのロックを信じるリスナーたちとの揺るがぬ信頼を強く確かめ合うことができたからこそ、今の彼らは、ラフに、フラットに、過去の楽曲を出し惜しみなく連打できるようになったのだと思う。

 本公演も、まず2曲目の「endscape」に驚かされた。そして「just Melody」、本来の1曲目として彰が選んでいた「撃破」、「ゼロの答」の3連打に圧倒された。また、後半に「DISCORD」が披露された時のフロアの熱狂は本当に凄まじいもので、あの数分間はこの日の重要なハイライトとなったと思う。これらのナンバーは、近年ほとんど披露されてこなかった楽曲であるが、それらは単に過去を懐かしむために披露されたのではない。一つひとつの過去曲が、無数の経験を重ねてきた今の6人の手によって、最新のUVERworldサウンドとして極限までビルドアップし洗練されていて、とても感動的であった。これまでの全ての歩みが、今のUVERworldに繋がっている。きっと、彼らはそう確信しているはずで、だからこそ、もう過去の楽曲たちを過去のものとして切り離す必要はないのだろう。最新の楽曲と過去の楽曲を、等しく価値あるものとして鳴らすことのできる今のUVERworldは、何度目かのキャリアハイを迎えているのだと思う。

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