UVERworld、今の6人がリスナーへ届ける洗練されたメッセージ サプライズも飛び出した『彰生誕祭』
そして、もう一つの軸となったのが、昨年末にリリースされた最新アルバム『30』の楽曲たちだ。「AVALANCHE」「えくぼ」「OUR ALWAYS」など、今鳴らしたい音、伝えたいメッセージだけを紡いだ渾身の楽曲たちが次々と披露されていく。特に、このコロナ禍で生まれた新たなライブアンセム「EN」は、今回も圧巻だった。この楽曲の歌詞は、今回のツアーにおいていくつかの箇所が更新されている。例えば、〈俺達の夢〉は〈俺やお前の夢〉に、〈俺達にとって音楽はビジネスなんかじゃねぇ!〉は〈俺達にとってUVERworldはビジネスなんかじゃねぇ!〉 に変更されていて、今の6人が、ライブで目の前のリスナーへ向けて届けるメッセージとして、音源よりもさらに鋭く研ぎ澄まされているのだ。また、〈俺達が生きてる間に 差別も犯罪も戦争もなくならねぇ〉という一節の中に、今の現実に対する本心が表れていたことも印象的であった。UVERworldの音楽は、そこにTAKUYA∞のリアルな言葉が乗って初めて、6人の唯一無二なものとなる。そしてその言葉たちは、ライブの場で直接届けられるからこそ、より深く刺さる。改めて、本当に圧巻のライブ体験であった。
今回の彰の生誕祭は、「One stroke for freedom」と「終焉」によって大団円を迎えた。この日の公演を改めて振り返ると、彰自身が思い入れの強い楽曲を選んだからだろうか、いつものように、そしていつも以上に、彰のギターヒーローとしての存在感が際立っていたように思う。「just Melody」や「ゼロの答」における鮮やかなタッピング、「GROOVY GROOVY GROOVY」や「DISCORD」における重厚でエッジーなリフ、そして「NAMELY」における流麗なギターソロ。そうした彰のギタープレイの一つひとつが、UVERworldのロックにおける核そのものである。そう強く感じた。終演後のメンバー同士の掛け合いからも、5人の彰に対する厚い信頼が伝わってきた。そして、こうして一人ひとりのメンバーにリスペクトと感謝を伝える生誕祭ライブは、とてもUVERworldらしい企画であると改めて感じた。
今回のライブハウスツアーは、3月24日から2日間にかけて行われる仙台公演をもって幕を閉じるが、そこからまたすぐに春フェスシーズンへと突入する。2022年も、UVERworldはライブバンドとしてステージの上に立ち続ける。絶え間なく磨き上げ続けられていく最新型のロックを、ぜひその目で目撃してほしい。