ZOT on the WAVE&Fuji Taito「Crayon」バイラルチャート好調 心地よさと刺激をブレンド、ヒップホップチューンの新基準に?

 「Crayon」は前述した“心地良さ”と“刺激”が同時に、抜群のバランスで体感できる大衆性の高いヒップホップチューンだ。心地良さを担うのが、ZOT on the WAVEのバックトラック。中でもダブステップを彷彿させる低音のビートの音色がいい。基本になるフレーズを繰り返しながら、音譜を増やしたりタイミングをずらしたりと、フックとしての効果はもちろん、ビートそのものがキャッチーなサウンドアイコンになっている。

ZOT on the WAVE, Fuji Taito「Crayon」

 対して、刺激の部分を担うのが、Fuji Taitoのラップとリリックである。ビートに合わせ、子音を伸ばして軽くビブラートをかけるような個性的な節回しのアプローチは、リズムを刻むというよりフレーズのループのような趣があり、中毒性が高い。〈イカゲーム〉など、時代をジャストに切り取った単語を使いながら、己の人生観を綴ったリリックは、〈この上ないよ描いた未来図はずっと虹色の信号機〉で締め括られている。曲全体を通して“虹色”を形成する様々な色が登場するが、リリックで用いられる例えのチョイスも虹色のように多彩で、言葉選びの才能も大いに感じられる。

 「Crayon」はヒップホップシーンの新たな座標になるのだろうか。シーン全体の動向も含め、今後のチャートアクションが気になる1曲である。

※1:https://fnmnl.tv/2019/07/03/76146

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