THE ALFEE、現役48年支える強固な関係性 「1本では折れちゃうけど、3本そろってやっと戦える」

「僕らには全盛期という言葉がピンとこない」(坂崎)

ーーそして、このアルバムの中でも特に印象深いのが「組曲:時の方舟」です。8分強ある長尺の曲ですが、様々な音楽性を横断しながら、一つのストーリーが描かれていく展開は衝撃的でした。

高見沢:アルバムを作る度に、毎回「組曲」を作ろうと思いますが、時間的な問題でそれが叶わなかった。今回は考える時間も含め、余裕がかなりありましたからね。それに、THE ALFEEほど「組曲」が合うバンドはいないしね。場面によって3人でボーカルを変えられるし、コーラスもある。それにエレキギターとアコースティックギター、ベースのアンサンブルも贅沢に使えます。ただ、プログレッシブな曲は、一歩間違えると聴いている人を置いてけぼりにする傾向にあるから、そうならないよう、自己満足にならないよう、メロディはポップにわかりやすく、まとめました。変拍子もたくさん使っていますが、最後まで飽きずに通して聴ける曲になったと思います。

ーー本当に、聴いていて全然飽きないですね。高見沢さんの中でプログレッシブロックといえば、どんな位置づけでしょうか。

高見沢:それは嬉しいですね。何よりやった甲斐があります。で、僕にとってのプログレは、やっぱり世代的にYESやPink Floyd、KING CRIMSON、The Moody Bluesなどですね。あの頃はプログレが世界中でブレイクしていて、他にもたくさんいましたね。

坂崎:日本人のバンドもあったのかな?

高見沢:あったね。でも、70年代にブレイクしたのはイギリスのバンドが多かったかな? 80年代以降はエイジアがブレイクしたけど、最近はプログレが世界を席巻することはなくなった。僕らの場合、THE ALFEEとしてこれまで積み重ねてきたものを自然に表現すると、プログレになります。ボーカルとコーラス、アコギとエレキのアンサンブル。そういった僕らの武器を最大限に活かしたのが「組曲:時の方舟」ですね。

桜井:これから約1カ月半位ありますけど、ツアーに向けて、あの曲を覚えなきゃいけないんですよ(笑)。スコアが巻き物みたいな長さでしたからね。

坂崎:これまでの組曲よりも、サウンド的にも一番まとまっている曲だと思います。だから1曲として聴いても、あっという間という感じがしますね。テーマが決まっているというか、筋が1本通っているというか。LPだったらあと5分位尺を足して、片面に1曲という感じでやれたら面白いのかなとかも思ったりします。

ーー曲のテーマとしては、どういうものをイメージして作っていったのでしょうか?

高見沢:やっぱり、ツアーが4つ飛んだことで、精神的なダメージをかなりくらいましたよ。同時にライブが不要不急の対象になってしまって、それに対するレジスタンスも生まれて……。もちろん、受け入れるところは受け入れて、自粛しましたけどね。だからこそ、バンドとしての意思表示を新曲で表現しないといけない。未来に向かっていくための音楽というより。自分の素直な気持ちが「時の方舟」になったり、「天地創造」のようなアグレッシブな楽曲になったのかもしれませんね。コロナ禍の越えた次の世界。そういったことも意識して創作しました。

 先ほども話しましたが、この自粛期間はTHE ALFEEを見つめ直す時期でしたね。バンドとしても再来年でデビュー50周年を迎えるのですが、そういう時間を経て、改めて「まだまだこれから」だなという気持ちが強くなりましたよ。

坂崎:一つ言えるのは僕らには全盛期という言葉がピンとこないということ。もちろん、たくさんテレビに出たり、忙しくて大変な時期は80年代頃にありましたけど、僕としてはあれが全盛期だったという感覚はないんです。でも、僕らの新曲やアルバムを楽しみにしてくれて、受け入れてくれるファンの方々がたくさんいるというのは、ここまでずっと現役でやってきたからこそなのかなと。もちろん、時期によって特に好きな曲というのはあるかもしれないし、そこがその方の全盛期なのかもしれないのですが、僕らのファンの方々は新しい曲までちゃんと追いかけてきてくれるんですよ。最近、そういうことを感じる機会が多くて、すごくありがたいなと思っています。

桜井:現役でアルバムを出して、ツアーができる。だからこそ、また新しい曲を作れるわけじゃないですか。そして、その新曲が今生きているという証拠ですからね。それでまた次に、このアルバムを超える作品を作っていく。そういう力があれば、あと十数年は頑張っていけるんじゃないかな。

ーー常に前作を超える気持ちを持って臨んでいると。

桜井:そうですね。

高見沢:そこは常に考えているし、それはツアーにも言えますね。こんなに良いツアーを次回で超えられるかなっていつも思うんだけど、超えちゃうんだよな(笑)。

坂崎:今のツアーが一番いいなといつも思ってやっているんだけど。

桜井:次のツアーになると、こっちもいいなって思う。

高見沢:そう思える自分たちである限り、止まることはないでしょうね。まずは自分たちがライブを楽しむ姿勢がないと、オーディエンスには届きませんからね。ただね、これも、3人でやってきたから長くライブが出来たと思います。仮にソロだったったとしたら、こんな本数はこなせないし、絶対、さだまさしさんにはかないません(笑)。あっ、3人でも負けてるか(笑)。

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