羽多野渉、内田雄馬、古川慎……それぞれの持ち味と豊かな表現生かす、男性声優の注目作

 薔薇戦争時代の中世イングランドの王家を舞台にしたアニメ『薔薇王の葬列』(TOKYO MXほか)の第1クールオープニングテーマ、「我、薔薇に淫す」を表題に冠したニューシングルをリリースした古川慎。これまでもロックやジャズなど様々なジャンルの楽曲を歌ってきており歌唱力に定評のある古川だが、今回リリースした楽曲はシンフォニックでどこか妖しい雰囲気を彷彿とさせる。作詞にはALI PROJECTの宝野アリカが参加しており、退廃的で妖美な印象をより高めている。そんな壮大な楽曲を歌唱する古川は普段よりも声帯を締めたという歌唱で中性的な華やかさを纏っており、楽曲をより荘厳なものにしている。

古川慎 / 我、薔薇に淫す -Lyric Video-

 アーティスト盤のカップリング曲「first light」では、古川自身が作詞を担当。打ち込みのビートがダンサブルな楽曲に仕上がっている。〈遠い日から途切れずに〉からの部分では音程の高低を滑らかに聴かせ、サビではリズミックなトラックとともに伸びやかに、かつ跳ねるリズムを作り、展開ごとにそれぞれ異なる表情を見せる。歌詞には「自分というものをいったん仕切り直して新しく歩き直す」(※1)という意味が込められているそうで、終盤の〈新しい夜明けが 僕を変えてゆく〉と歌う部分では、その思いを解き放つような明るい声色で歌い上げられている。

 今回取り上げた3作品は、声優としての持ち味を生かす楽曲と各々の豊かな表現や声色のコラボレーションによって、鮮やかにそれぞれの世界を構築している。歌唱力だけでなく、表情や表現の幅も持ち合わせる声優だからこそ、コラボレーションやジャンルへの挑戦も生まれやすく、それに適した声色や表現を突き詰めていくこともできるのだろう。これからも、様々な表現への取り組みによって広がる可能性を楽しみにしたい。

※:https://akiba-souken.com/article/55140/

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