和氣あず未、近藤玲奈、竹達彩奈、東山奈央……個性や強みが落とし込まれた、声優によるコンセプト作品に注目
食べ物をテーマにした楽曲を集めたアルバム『Méli-mélo meli mellow』を制作したのは竹達彩奈。ショーの始まりを告げるようなファンファーレとポップな曲調、甘い歌声がお菓子にマッチする「SWEETS is CIRCUS」でアルバムの開幕を彩る。「OH MY シュガーフィーリング!!」も、同じく甘いキャンディや綿菓子といったキュートな印象のワードが多用されるが、パワフルな歌声が1曲目と印象を変える。きらびやかな「マシュマロ」、可愛らしくも背中を押す「Strawberry☆Kiss」など、様々な甘さや味を表現した楽曲が並ぶ。そんなバラエティ豊かな収録曲の中で特にインパクトをもたらしたのは、霜降り明星の粗品が作詞作曲を担当した「世界が一瞬だけ恋をするような時間」。これまでと一転、吹っ切れたように〈ケーキもパフェもシュークリームも 本当はあんまり好きじゃなかったの〉と歌うナンバーだ。葛西大和(Mili)が提供した「お月見団子は晩夏に冷えた」は夏の終わり、涼しくなり始めた夜風を感じる落ち着いた1曲。アルバムタイトルにもあるméli-mélo=ごちゃまぜをポップに表現し、生活と切っても切り離せない食べ物と日常や恋、そして流れゆく季節をも結んだ作品だ。
2020年に声優デビュー10周年、2022年2月1日に歌手活動5周年を迎えた東山奈央も、コンセプトミニアルバム『off』を2021年にリリースしている。初めて休みについて考えたという今作のテーマは“休みと癒し”。1曲目「off」では目覚まし時計のアラームや、実際に東山が自宅で録ったという朝の生活音がリズミカルに取り入れられ、(※2)まさに休日の朝を切り取ったような楽曲に。かと思いきや、ワーカホリックを自称することもある東山らしい、パワフルな楽曲も収録されている。
かいりきベアが作詞作曲を手がけた「グー」は、めくるめく鍵盤が疾走感を生み出しており、歌詞はクールな声色で休みなく紡がれる。とはいえ、これもアルバムコンセプトを意識したもので、“ストレス発散で理性をoff”という休みの日における1つの提案だそう。「シャンプーリンス」では〈なりたい私にTake off!〉という歌詞がコンセプトの幅を広げており、休みでも自分磨きをすることでリラックスする気持ちが穏やかに綴られている。「Rhythm Loop」では気だるい感じの夜を歌い、自身が作詞作曲を担当した「あした会えたら」は、子守歌のような平穏さで明日に思いを馳せる。休みの様々な瞬間を東山らしく多方面から切り取った。
声優自身の意思や性格、声色の豊かさなど、各々の強みが秀逸に落とし込まれたコンセプト作品のリリースが続いたここ1年。この流れがどのように続いていくのか、楽しみにしたい。
※1:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1638405207
※2:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1620358439