RADWIMPS、未来を一緒に生きようと伝えるメッセージ 新たなライブ編成で挑んだ『FOREVER IN THE DAZE TOUR』

 『FOREVER DAZE』はヒップホップやR&B、エレクトロへ接近した作品だったが、ライブで演奏される「海馬」「匿名希望」「MAKAFUKA」などのダイナミズムに、RADWIMPSがロックバンドであることを痛感させられる。森とエノの掛け合いから、武田&TAIKING&沙田のソロ(TAIKINGはDeep Purple「Smoke on the Water」を引用する遊び心も)へと続いていった「おしゃかしゃま」をはじめ、既存曲も織り交ぜながらの展開に会場の熱も高まっていく。

 一方、フォークソング的な佇まいの「うたかた歌」における野田の丁寧な歌唱も印象に残った。バンドの熱量と心のこもった野田のボーカル。それぞれが良好なコンディションのもと、幸福な邂逅を果たしたのが「トアルハルノヒ」である。直前の「NEVER EVER ENDER」を終えるまでの間、会場のテンションを引き上げ続けたバンドサウンドがサッと止み、野田が息を整えてから〈ロックバンドなんてもんを やっていてよかった/間違ってなんかいない そんなふうに今はただ思えるよ〉と歌い出した瞬間の感動たるや。画面越しの初めましてが珍しくなくなったこの世界で、複数人が顔を突き合わせて音楽を鳴らすロックバンドというコミュニティ、あるいはライブという空間は、それらに興味がない人からすると時代遅れに見えるかもしれない。しかし、やっぱりこれがいいのだという魂の叫びのような音楽がこの日、幕張で鳴っていた。

 そんな1つのハイライトというべき場面を経て、「Tokyo feat.iri」「SHIWAKUCHA feat.Awich」では、iriとAwichがそれぞれゲストとして登場。ハイライトを塗り替えるような貴重な共演に加え、過去のライブでの観客の歌声を流すことで“feat. 日本で一番やかましいお客さん”的な趣を見せた「いいんですか?」、理屈なしで笑い合える空間を肯定する本編ラストの「SUMMER DAZE 2021」、そしてその日の気持ちに従って演奏曲を決めているというアンコールにて(元気よくジャンプする観客を見た野田の)「まだ余力残ってんな。じゃあ畳みかけようかな」という言葉、曲間を繋げるために野田がアドリブで弾いたピアノソロまでひっくるめて、すべてが愛おしい時間の連続だった。ツアーのタイトルは『FOREVER IN THE DAZE』。小さな火が風で消えてしまわぬよう、手のひらで守るように、不安定なこの世界でRADWIMPSは儚い希望を歌い続けている。それは、あなたの心を見つめ、“一緒に未来を生きよう”と伝える営みだ。「次会える時まで幸せでいような!」(野田)という約束でライブは幕を閉じたのだった。

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