RADWIMPS、未来を一緒に生きようと伝えるメッセージ 新たなライブ編成で挑んだ『FOREVER IN THE DAZE TOUR』
10thアルバム『FOREVER DAZE』リリースに伴う全国ツアー『FOREVER IN THE DAZE TOUR 2021-2022』、幕張メッセ国際展示場公演の2日目。円陣を組んでいるのだろうか、開演数分前になるとメンバーの気合いの入った声がステージ裏から聞こえてきた。気づいた観客が拍手し、席から立ち上がって開演を待つ。マスクをしているから顔は半分見えないが、それでもここに集まった人たちの高揚感は手に取るように伝わってきた。
きっとバンドも同じ気持ちだったはずだ。新型コロナウイルスによる感染症が全世界にもたらした変化は大きく、おそらくすべてのアーティストがーーいや、それどころか地球上に生きるすべての人が何かしらの影響を受けたことだろう。RADWIMPSの場合、2020年夏に開催予定だったワールドツアーが中止に。そんななか、有観客+配信で開催した2020年11月のメジャーデビュー15周年記念ライブ『15th Anniversary Special Concert』、クリエイティブ集団 PARTYとタッグを組んで実現させたバーチャルライブ『SHIN SEKAI』と、コロナ禍でも新たな形を模索し続けた。また、ライブができない日々に感じていたであろう歯がゆさをクリエイティビティに変換し、混沌とした世界に対する祈りを楽曲に昇華させた。そうして生まれたのが『FOREVER DAZE』というアルバムだった。
そんな月日の積み重ねの先で迎えた、待望の全国ツアーである。1曲目は〈唄いたい歌ない 聴きたい歌詞なんてない そんな難解な夜くらい/感じあっていたい 絡まり合っていたい 痛いくらい笑い合っていたい〉と歌うダンスミュージック「TWILIGHT」で、続くは光の中で鳴らされる「桃源郷」。そして「ドリーマーズ・ハイ」に入ると、野田洋次郎(Vo/Gt/Pf)がステージを離れ、客席へ伸びる花道へと駆け出していった。ラスサビでは大きな音を立てて銀テープが発射される。まるでライブのクライマックスのような演出で、3曲目でやるには早く感じられたが、こうして再会できた今を祝しているようで、その早さがかえって愛おしかった。
途中には野田が、RADWIMPSのライブに集まるファンのことを「日本で一番やかましいお客さん」と言い表しながら「それを誇りに思っていたんですけど、そんななかでも一緒にライブができて嬉しいなと思います」と語ったり、手拍子する観客を見て「綺麗だ!」と笑顔を見せたりする場面も。音楽を介した観客とのコミュニケーションを大事にするRADWIMPSのライブにおいて、観客が声を出せない今の状況は最高とは言い難いかもしれないが、それでも確かにあなたの心は感じられるのだと観客に伝えていた。
今回のツアーは野田と武田祐介(Ba)に、サポートメンバーのTAIKING(Gt)、沙田瑞紀(Gt)、森瑞希(Dr)、エノマサフミ(Dr)を加えたツインドラム&ツインギター(野田がギターを弾く曲ではトリプルギター)スタイルの6人編成。6曲目「DARMA GRAND PRIX」では武田→TAIKING→沙田のソロ回しも披露された。この編成だと野田はステージ上をより自由に動ける上、2人にギターを任せて歌にグッと集中することも可能に。また、ギター2本+ドラム2台に対して、ベース1本で拮抗するどころかむしろバンドを大らかにまとめてみせる武田の頼もしさ、実直さも浮き彫りになった。今回のツインギター導入は、山口智史(Dr)の不在を“ツインドラムの導入”という斜め上の発想で乗り越えた『10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤』(2015年)を連想させるもの。このバンドの“ただでは転ばない精神”、何か変化があった時にそれを欠落と捉えず、むしろ新しい表現に繰り出すきっかけとして解釈する前のめりさを改めて感じさせられた。