加藤ミリヤ、ステージで表現した様々な愛の在り方 シンガーの核を力強く感じさせた『WHO LOVES ME』リリパファイナル

 加藤ミリヤが、昨年10月にリリースした11枚目のオリジナルアルバム『WHO LOVES ME』を引っ提げて4会場を巡った『MILIYAH “WHO LOVES ME” Release Party 2021-2022』。そのファイナル公演が1月23日にTOKYO DOME CITY HALLで開催された。

 オープニングSEが流れる中、「Are you ready? TOKYO!」という一言と共にステージへ登場した加藤ミリヤ。1曲目はアルバム『WHO LOVES ME』のリード曲となっていた「DEVIL KISS」だ。狂気的な愛情を見せる相手に自らの意志を持ってハマっていく女性の感情をリアルに描いた楽曲を、4人のダンサーとのダンスパフォーマンスを織り交ぜながらクールに表現し尽くしていく。続く「OMG」では畳みかけるボーカルで内面に芽生えた浮気心を歌い、〈ねえどうする?君ならどうする?〉といたずらっぽく投げかけてみせる。ここでもスキルフルなダンスをたっぷりと見せてくれた。「東京の皆さん、こんばんは! 今日は最後まで思いきり楽しんでいってください」という挨拶をした後は、「今夜はブギーバック(short ver.)」へ。少しレイドバックしたウェットな歌声が会場を心地よく揺らした。

「今回はツアーではなくリリースパーティなので、いつもよりもしゃべろうかなと思ってます。あと今回、踊る曲が割と多いので、それがいつものライブとは違うところかなって。デビューから17年以上経つんですけど、スニーカーでステージに立つのは今回がほんとに初めてで(笑)。身長が低いのがずっとコンプレックスなので、今まではヒールを履いてステージに立っていたんですけど、今回はしっかり踊るために勇気を出して。地面を近くに感じながら(笑)」

 今回のライブについて語ったMCに続くパートでは「私が10代の時に書いた曲とか、ちょっと懐かしい系の曲を」と言い、「HEAVEN」「Shape of love」「Heartbreaker」「FREE」「This is my party」をメドレーで聴かせていく。デビュー以来、愛に強く深く向き合い、様々な愛の歌を紡ぎ続けてきたミリヤ。異なる時期に生まれた楽曲を今の彼女が歌うことで、そこには新たな説得力が生まれていたし、どれだけ時間が経っても色褪せない楽曲を生み出し続けるソングライターとしての才能を改めて強く感じることができた。ダンサーと一緒に客席を煽ったり、クラップを促すことで会場には最高の一体感が生まれていく。

「“宿命”は私たちが生まれたときから変えられない、決まっているもの。でも自分がどう生きて行くか、どうそれについて考えるのかで“運命”は自分の力で変えていける。次はそんなことを思いながら作った曲です」

 そんなMCに続いて披露された「宿命」では、力強く高らかなボーカリゼーションで、すべての聴き手の感情を明確に鼓舞していく。強い光を放ち、希望を感じさせるサビでの幸福感は筆舌に尽くしがたいものがあった。その後、キーボーディストとDJ、ダンサーたちによるインタールードを挟み、衣装チェンジをしたミリヤがステージ上に再び登場。アコースティックギターの響きが染みるラブソング「Never Call Me Again」を切なく届けた。

「会える時間はライブだけだから貴重で尊いなってやっぱり思いますね。こうやってみんなの目が見れたりすると、ここが自分の場所だなってすごく感じる。いろんな状況を見ながら2022年もライブ活動をしっかりやっていきたいし、曲もどんどん出していきたいなってスタッフのみんなと話しています。楽しいことを見つけていろいろやっていこうと思っているので、よろしくね」

 ミリヤ自身が好きな曲であるという「うたかたの日々(short ver.)」では、ライブにおけるミリヤとファンとの関係性を投影しながら柔らかな歌声を響かせる。「Never let me go」では自身のルーツでもある90年代R&Bを感じさせるトラックに身を委ねながら、グルーヴィなダンスと歌でしっかりとパフォーマンスしていく。17歳の頃に書いたという「You don't know me」では、10代のミリヤが感じた思いがラップパートを交えながらリアル表現されていくが、その普遍的な感情は時を経た今でも鮮烈に聴き手の胸を刺してくる。

関連記事