乃木坂46、AKB48、=LOVE……別グループのアイドル共演はなぜ盛り上がる? ドラマや舞台に見る交流も

アイドル共演作が多くない理由と盛り上がる背景

 女性アイドルグループは、ライブイベントで多数のグループと対バンする機会はあっても、同じステージで一緒にパフォーマンスをおこなう機会は頻繁ではない。そういったコラボは手前味噌でできるものではなく、合同練習やリハーサルをおこなうなど時間を要するからだ。

 映画、ドラマ、舞台も同様だ。別グループに所属するアイドルがひとつの作品で共演することは多くはない。映画などには俳優が出演者として揃っており、演技のバランスの関係もあって、芝居のプロではないアイドルに充てられる出演者枠には限りが出てくるはず。また、アイドル中心に出演者を固めた場合、鑑賞者層に偏りが出る恐れもある。アイドルを大挙して起用できない背景には、そういった点があるのではないか。裏を返せば、だからこそアイドル共演作は特別感やレア感が生まれ、ファンの間で話題になっていく。

 作品に出演するアイドル本人たちにとっても、お互い別グループに所属しているとはいえ、“アイドル”という共通項で結ばれていることもあり、撮影や上演の期間中は連帯感が出てくるはずだ。これはあくまで想像の話だが、例えば舞台『六番目の小夜子』の総監督を務める鶴田法男は、映画『リング0 バースデイ』(2000年)や『ほんとにあった怖い話』シリーズでもメガホンをとり、本格的なホラー演出で知られている作り手で、作品として目指すハードルも高いはず。鈴木、山内は同じアイドルとあって“話しやすい間柄”にあり、演出などに疑問があっても解消しやすい環境にあるかもしれない。それによって作品への理解が深まり、そして演技面の向上にも結びついていく。

 ファンにとっては、別グループのアイドルたちが作品を機に交流を持ってくれるところも嬉しいポイントである。それぞれSNSにツーショット写真を掲載するなど、これまでになかった組み合わせが共演作品を通じて出来上がっている。ファンが色々なグループに興味を持つきっかけにもなれば、アイドルシーン全体の盛り上がりにもつながる。

 セカンドキャリアとして役者を目指すアイドルは多数いる。そのステップのひとつとして、グループ在籍中に映像作品や舞台に出演するメンバーも増えてくるはず。そういったなかで、今まであまりなかった“グループのエース級が多数揃う作品”を観てみたいものだ。

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