新しい地図の3人が歌い踊る新たな応援歌 時代を反映した「だったらDance!!」を聴いて

不揃いであることを楽しむ心

 かねてより稲垣はダンスが、草なぎは歌が、香取は芝居が……と、それぞれ苦手意識を口にしてきた。今回の『ななにー』での振り付け講座でも、「僕ら、雰囲気で踊ってるんで」と自らが教鞭をとるのではなく、バックダンサーに任せるスタイルを取っていたのも彼ららしいところかもしれない。

 一糸乱れぬパフォーマンスを披露する完成された美しさもある。一方で、それぞれが雰囲気に任せて踊る未完成の楽しさもまたある。彼ら1人ひとりがスター性を持ちながら、どこか身近に感じられるのも、“一緒に踊ろう”と見ている人をNAKAMAに入れてくれる“隙”のような余白を見せてくれたからではないだろうか。

 苦手なものがあっても、得意なものでカバーしたらいい。みんなが揃っていなくても、楽しく踊れればたぶんオーライ! “多様性”という言葉が今ほど浸透していないころから、彼らの歌う楽曲には様々な個性を受け入れていく温かな空気があったように感じる。

 「だったらDance!!」を披露した際、キャイ〜ンら『ななにー』ファミリーも見様見真似で体を動かしている様子が映し出された。「ちゃんと踊れない」と恥ずかしがるより、「ここは踊れるかも」とチャレンジしていくことが大切。そんな小さな変化こそが、彼らの歌う〈地球が回る度にきっと強くなれる〉〈最強の魔法〉となるのかもしれないのだから。

 1人ひとりの個性が尊重されていく時代に、できることから始めればきっとそれぞれの楽しいが見つかるはず。体がすくみそう、心が縮こまりそう……「だったらDance!!」! 2022年の応援歌として広く聴かれてほしい1曲だ。

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