ラストアイドル、2021年の集大成と5年目への希望を見せた4周年記念コンサート ファン感涙の水野舞菜ラストステージも

 ラストアイドルが、12月21日にパシフィコ横浜 国立大ホールにて4周年記念コンサートを開催した。

 2017年12月にデビューしたラストアイドルが毎年開催してきたこの周年記念コンサートには、その年の集大成としてのパフォーマンスと1年を振り返る様々な要素が詰め込まれている。年を重ねる毎にその濃度は濃くなっていく一方であるが、まず触れるべきは有観客としては2年ぶりに開催された周年コンサートだということだ。

 昨年のTOKYO DOME CITY HALLでの3周年記念コンサートは、開催直前で有観客から無観客でのライブ配信となる悔しい結果に。定期イベントの『ラスアイのヨルライ』などではすでにファンを入れての公演は行ってきてはいた。ただ、ラスアイにとって周年コンサートが年に一度の大規模な公演だということを踏まえれば、今回の公演の価値はグッと増す。

 オープニングアクトとアンコールを含め全35曲、3時間ほどのコンサートを観ていて、筆者が感慨を覚えたのはずっと画面越しのパフォーマンスだった楽曲が目の前で披露されていることである。コロナ禍直後にリリースとなった『愛を知る』から最新シングル『Break a leg!』まで、この2年間でのシングルの数は4作。本編の1曲目を飾った選抜17人での「Break a leg!」、エンディングブロックにて全メンバー33人で披露された「何人(なんびと)も」「君は何キャラット?」「愛を知る」と4曲ともシングル曲としての物語性を含んだ強度と煌びやかさを纏っているように思えた。中でも特筆すべきは「愛を知る」。この日は声援禁止に着席形式という観覧のルールがあった。しかし、その簡単な振り付けから拳一つ、もしくはペンライト1本で盛り上がることができる一体感、さらには〈生きてりゃいいことあるもんさ〉〈君と出会って泣けて来た なぜか涙が止まらない〉といったコロナ禍以降の現代において普遍的な歌詞としてこれからも光り続けるだろうそのメッセージ性を再確認する場でもあったからだ。

 先述したようにオープニングとエンディングブロックにここ最近のシングル表題曲が並んだ今回の周年記念コンサートは、大まかに「期別、トライブ ブロック」「ユニット曲メンバーベスト5」「盛り上げブロック」といった構成でセットリストが組まれている。特にトライブ曲は、有観客としては今回のコンサートが初披露となった。西村歩乃果がセンターの“雲の上はいつも晴れ”、松本ももながセンターの“&M.LLY”、阿部菜々実がセンターの“カトレア”という3つのチームによる売り上げバトルを制したのは、西村率いる雲の上はいつも晴れ。上品に美しくをコンセプトに掲げた&M.LLYによる「順調な自転」、パフォーマンスを重視したカトレアの「今夜はUp to you!」とそれぞれに観る者を惹きつけるポイントがあったわけだが、個性を尊重し、明るく楽しいチームを掲げていた雲の上はいつも晴れの「当たりくじ」は、抜きん出てぶっ飛んでいる。ラスアイ最新のトンチキソング「当たりくじ」は、とにかく楽しんだもん勝ちと言わんばかりのあらゆる要素がパンパンに詰め込まれている。同じ言葉の繰り返しに始まり、〈ヨイショ!〉〈ドッコイショ!〉〈ワッショイ!〉といった合いの手、ポンポンを持ってのラインダンス、円になってグルグル回るパートなど、一度観たら忘れられない中毒性の高さが「当たりくじ」にはある。MV制作も決定し、その中毒性はさらに広がっていくだろう。

 レアなパフォーマンスとなったのは、盛り上げブロックの頭を飾ったAKB48史上屈指のダンスナンバー「根も葉もRumor」だ。12月2日に放送された音楽バラエティ番組『本家が聴かせてもらいます』(テレビ東京)で、ラスアイはAKB48と共演。阿部菜々実、小澤愛実、山本愛梨、大森莉緒の4人が、“本家”であるAKB48の前で「根も葉もRumor」を披露していた。今回はさらに籾山ひめり、鈴木遥夏、米田みいな、相澤瑠香といったダンスに定評のある4人が加わり、計8名で「根も葉もRumor」をパフォーマンス。オンエアではサビのウィッチウェイのみだったが、そこに間奏のタットダンスを加えたワンハーフバージョンにパワーアップしている。番組でも映し出されていた血のにじむような努力を8人全員がしてきたことを前提で特記すると、ウィッチウェイはセンターを飾る阿部の長身とパフォーマンス能力が掛け合わされた相性抜群のダンスだということ。先月同じ会場でAKB48の「根も葉もRumor」を観ている筆者が、「本家越えしているのでは……?」と思ってしまうくらいに、贔屓目なしに阿部のすごさを改めて実感した時間だった。

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