メジャー2ndアルバム『TRINITY』インタビュー
Non Stop Rabbitの無敵宣言 充実の音楽性、死角なしのメジャー2ndアルバム『TRINITY』を語る
Non Stop Rabbitが12月22日にメジャー2ndアルバム『TRINITY』をリリースした。
昨年12月に発売したメジャー1stアルバム『爆誕 -BAKUTAN-』に続く、約1年ぶりとなる同作には新曲「BAKEMONO」や「Needle return」、「全部ブロック」、「三大欲求」など全10曲収録。コロナ禍でライブができない状況が続いた反面、楽曲制作ではいい意味でライブを意識せずこれまで以上にジャンルの幅を広げることに成功した彼ら。アルバム制作に関する話はもちろん、5周年を迎えた今が一番いいという3人の良好な関係性についても聞いた。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
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今のノンラビが一番好き
――Non Stop Rabbitは11月1日で結成5周年を迎えました。
田口達也(以下、田口):あっという間ではあるんですけど、理想ではもっと早くスターになっていると思っていたので予定よりちょっと遅い感じですね(笑)。ただ、ノンラビらしさ、ノンラビのキャラみたいなものをちゃんと築き上げてこられた5年ではあったと思います。
矢野晴人(以下、矢野):気づいたら5年経っていた感じですけど、思い返せばけっこう長い5年でもあったような気がします。結成当初はなかなか軌道に乗らず、時間が経つのを長く感じてましたから。でも今、こうやって笑えている毎日があるので、すごくいい形で進んでこられているかなと。
太我:ある程度、軌道に乗せるまではやっぱりめちゃくちゃ大変でしたね。YouTubeチャンネルの登録者数をゼロから1万人にするまでってほんとに大変なんですよ。そこを超えると口コミでうまく広がっていくようになるんですけど。最初の1、2年はめっちゃ長く感じてたし、お金もなかったけど、この3人で活動すること自体が何より楽しかったから続けられたんだと思います。今よりも年齢的に若かったっていうのもあるし。
田口:そうだね。今の年齢で当初のキツイ状況で活動しろって言われたら絶対逃げます(笑)。
――この5年で3人の関係性はより良くなっている感じですか?
田口:僕は今のノンラビが一番好きですね。愛くるしいッス(笑)。
太我:孫を見るおじいちゃん目線?
矢野:(笑)。関係性が一周まわったことで、お互いにより理解し合えている感じなんでしょうね。あまり近くなりすぎず、一歩引いて全体を見れているところもあるし。
田口:ここへきて一番、仲間だなって噛みしめる瞬間が多いですからね。そう考えるとやっぱり愛くるしいなぁ(笑)。
矢野:気持ち悪いよ、あんまり愛くるしい愛くるしい言うと(笑)。
太我:結成当時は毎日ずっと一緒にいたからケンカすることもあったけど、今は会う頻度が減ったからか、いい関係なんですよね。めっちゃ仲良かったときの高校の友達みたいな。まぁでも、それぞれ自分の時間もちゃんと持てた上でノンラビに向き合えているっていうのが大事なんだと思います。
矢野:メンバーへの思いは口に出さないと伝わらないんで、僕は寝る前には必ずLINEで言いますけどね。「愛してるよ」って。
太我:「おやすみ♡」とかね。
田口:ほんとにやってるみたいになるだろ(笑)。
矢野:まぁ、そこは言わずともわかりあえてるところだと思います。
――ノンラビはコロナ禍に突入して以降、ライブを封印してきました。その期間は間もなく2年になりますが、バンドとしては今どんな気持ちですか?
田口:この前、Novelbrightのライブを観に行ったんですけど、そこで約2年ライブをやってない自分らに対してちょっとゾッとしましたね。自ら下した決断ではあるけど、正直ステージで輝いているNovelbrightを見て、シンプルにうらやましかったです。ただ、ライブをやらなくなったことで、いい部分もあったんですよ。今までの自分たちは常にライブでやることを強く意識して楽曲を作っていたから、ある意味、音楽単体として楽しんでくれる人たちを置いてけぼりにしていた部分もあったように思っていて。それをこの2年間で上手くチューニングできるようになったような気がします。ライブではもちろん、音源としてもしっかり楽しめるものを作るという意識に変わったというか。
矢野:うん。自分たちにとってすごく大事な場所であるライブがなくなったときに、じゃあ何ができるかっていうことを考えることができたんです。YouTubeを毎日投稿することで登録者数が増えたりもしたし、音楽にもあらためてしっかり向き合えましたしね。そういう意味ではこの2年でまた一皮剥けたかなって。
太我:とは言え、もうそろそろライブやらないとなとは思ってますよ。もちろん世の中の状況を見ながらではあるけど、ライブをすることでノンラビがちゃんと動いているんだぞっていうことを世間にもしっかりアピールしたいです。
――2021年は配信シングルを積極的にリリースされましたが、その裏では2ndアルバムに向けたビジョンも思い描いていたんですか?
田口:そうですね。そもそもメジャー1stアルバムを出したタイミングで、2021年の年末には次のアルバムを出したいと言われていたので(笑)。「はい、了解です!」みたいな感じでした。リリースペースが早いと言われることもありますけど、その覚悟を持って僕らはメジャーに来ましたから。全然想定内というか。
矢野:ペース的にはインディーズの頃ともそんなに変わらないですしね。
――メジャー2ndアルバムはどんな内容にしようと思っていたのでしょうか?
田口:シンプルですけど、音楽性の幅を広げながら1枚目をどう超えていくかを一番に考えてましたね。結果、インディーズ時代を想起させつつも新しさを感じさせる楽曲とか、今までやってなかったタイプのバラードとか、いろんな方向からノンラビを表現できたと思います。
矢野:僕らとしては達也から上がってくる曲をワクワクしながら待っている感じで。どんな曲が来てもいいようにコンディションを整えながら。
太我:そうそう。ドラムはけっこうスポーツ要素が強いので、普段から体を動かしておく感じですね。ドラムがめちゃ叩けるように、サッカーしながら待つっていう(笑)。
――本作の制作の中で、メジャー1stアルバム以降で手に入れた成長を感じる瞬間もありましたか?
田口:作曲においてはジャンルをすごく広げることができたかな。使える音数も増えたし、曲ごとのアプローチの仕方もいろいろバリエーションが出たと思います。歌詞に関しては、聴き手一人ひとりに対してどう刺さるものにするかをより意識して書くようになりましたね。その上で、自分の中にある不安みたいなものもさらけ出せるようになって。周りからは強い人間だと思われがちですけど、いやいや、強がってるだけで他の誰より不安を抱えてるんですよ、みたいな。で、そういう状況の中でどう頑張ってきたかを歌にすることが増えたような気がします。
――太我さんはドラムに関してどうですか? 前回のインタビューでは、ライブができなくなったことでドラミングの調子が良くなったと言ってましたけど。
太我:なお調子が良くなってますね。この2年、圧倒的にドラムを叩く機会が減ったことで、いい意味で余裕を持ってドラムを叩けるようになったんだと思います。
田口:聴かせ方が良くなってるよね。
太我:あと今、めっちゃ運動してるから体の調子がとにかくいいんですよ!
田口:さっきからそればっかり言ってるけど、スポーツ雑誌のインタビューなの?
太我:いやいやほんとに(笑)。ドラムはマジでスポーツだなっていうのはあらためて感じてます。同時に、自分なりのフレーズを考えるためにいろんな音楽をめちゃくちゃ聴くようにもなってますしね。ボカロ曲の打ち込みのビートをどう人力に落とし込めるかとか、そういうことを考えるのもすごく楽しいです。
――矢野さんはどうでしょうね?
矢野:ベースはそこまで変化を感じないですけど、歌に関してはミドルから下がけっこう出るようになってきたかな。そこはこの2年で意識的にトレーニングしたことでレンジが広がったんだと思います。今回のアルバムにはそれを生かした曲がけっこう詰まってますね。
――前作『爆誕 -BAKUTAN-』はメジャーを意識して、幅広いジャンルを詰め込むことを意識して作られたアルバムだったと思います。それを経て、今作ではより覚醒したノンラビの幅広い音楽性が気負うことなく、ナチュラルに詰め込まれている印象がありました。
田口:確かにそうかもしれないですね。今振り返れば、前作はメジャー1発目ということで言っても緊張してるんですよ。どこか力が入りすぎてしまったというか。それは当たり前のことだし、その良さもあるとは思うんですけど、今回は少し肩の力が抜けて、自分たちの持ち味を広げられた実感はありますね。いい意味で脱力した状態で、メジャーの波を乗りこなしていくぞという気持ちで向き合えたような気がします。
――アルバムは疾走系のロックチューン「優等生」で幕を開けます。
田口:これは絶対1曲目にしようと思って作りました。ライブができない間にYouTubeの生配信をやってファンのいろんな声を聞く機会があったんですけど、みんなけっこう悩まなくていいことまで悩んでいるいい子ちゃん、優等生だなって感じたんですよ。そういう生き方を続けていると、疲れてしまったりもするじゃないですか。なので、「無理して優等生でいなくてもいいんじゃない?」ってことを曲として伝えたかったんです。そこには自分たちに対しての思いもありますしね。いろんな我慢を強いられているご時世も込みで、僕らが今一番聴いて欲しい曲です。
太我:これは演奏してても楽しい曲ですね。ジャンルで言うとスポーツ(笑)。ずっと走り回っている感じなので、ライブが楽しみになる曲でもあります。
矢野:この曲のような王道のロックサウンドは、自分が好きでずっと聴いてきたジャンルでもあるし、歌詞の内容的にもすごく共感できるものだったので、歌はすごく乗せやすかったですね。自分が主人公になった気持ちでレコーディングには臨みました。
――ボーカルで言うと2曲目「上向くライオン」ではかなり早口なパートがありますよね。
矢野:あそこは一言一句しっかり聴きとれるようにしなきゃいけないので、かなり苦戦しましたね。僕は滑舌がいい方ではないので苦労しました。
田口:レコーディングでは俺、「聴こえないよ!」ってずっと言ってたもんね。
矢野:うん。思い出したくないです(笑)。達也のディレクションがけっこう厳しいので、もう歌うの辞めようかなって思うときもあります。
田口:あははは。嘘つけ! お前のほうがこだわるじゃん。俺らはOK出してるのに、「いやぁ……」みたいなことがほとんど。だからもう「じゃあ納得するまで歌いなよ」っていつも言うんですけど。
矢野:そこはね、せっかくの音源ですから。妥協はできないところですよね。
――この曲には雄たけびが随所に盛り込まれてもいますよね。まさにライオンのような。
矢野:雄たけびは普段からやってるんで問題なかったです。
田口:やってねぇだろ! どこで雄たけびやってんのよ(笑)。
矢野:いや、ヒマなときとかに1人で吠えたりしてるんで、いつも通りやりましたね(笑)。これはライブでみんなで吠えたら楽しそうだなって思ってます。