THE BACK HORN、ディープなアンセム満載のスリリングな一夜 『マニアックヘブンツアーVol.14』で示した前へ進む決意

 この日リリースされた最新シングル『希望を鳴らせ』に収録された「疾風怒濤」を初披露し、その勢いのままライブは後半へ。「浮世の波」(アルバム『太陽の中の生活』収録/2006年)、「反撃の世代」(アルバム『リヴスコール』収録/2012年)、「赤い靴」(シングル『覚醒』収録/2008年)と、気合いと爆発力に溢れたアッパーチューンを連発し、観客の熱気を引き上げる。どんなに強く叫んでも、歌心を失うことがない山田のボーカルも素晴らしい。2019年の秋に喉の不調から休養を余儀なくされた山田だが、今年のツアーのなかで完全復活を遂げたと言っていいだろう。

「コロナ以降、こんなに多くの人の前でライブをやったのは初めてで。不安もあるけど、こういうライブができると“大丈夫”という気がしてくる。ただこの場を生きるという力を交歓できるんじゃないかと思って、嬉しく、楽しくライブをやれてます。ありがとうございます」

 そんな山田の言葉に導かれたのは、「パレード」(アルバム『アサイラム』収録/2010年)。未来に向けて進む決意を歌い上げたこの曲は、暗いトンネルの先の光が少しずつ見えてきた現状とも重なり、会場を大きな感動で包み込んだ。

 本編終了後、鳴り止まない手拍子に導かれ、メンバーが再びステージに登場。山田がドラム、菅波がベース、岡峰がギターを弾き、最後に現われた松田が真ん中で歌詞を朗読する「天気予報」(アルバム『太陽の中の生活』収録/2006年)の『マニヘブ』バージョンだ。

 さらに「どんな状況であれ希望を鳴らしたいんだよね。まだ楽しいことはあるはず、絶対に。こんなところで挫けていられないという気持ちがいつもあります。支えてくれるみんな、スタッフ、メンバーと一緒に、声に出して希望を鳴らせる日が来ることを楽しみにしてます」(山田)という言葉から「希望を鳴らせ」へ。どこまでストレートな旋律、研ぎ澄まされたサウンド、そして〈俺はまだ生きてる 終わらない希望を鳴らせ〉という力強いライン。2021年の最後にリリースされたこの曲は、早くもTHE BACK HORNのライブアンセムになりつつあるようだ。

 「さらば、あの日」(アルバム『甦る陽』収録/2000年)でライブはエンディングを迎えた。THE BACK HORNは2021年、『「KYO-MEIワンマンツアー」カルペ・ディエム〜今を掴め〜』『「KYO-MEIストリングスツアー」feat.リヴスコール』、そして『マニアックヘブンツアーVol.14』と3本のツアーを開催。変化し続ける状況のなか、“やれることをやる”という真っ当な姿勢を貫いて、自らの音楽を直接届けてきた。そのなかで得た手応えは間違いなく、2022年以降の活動にも大きな助けとなるだろう。

■アーカイブ情報
『マニアックヘブンツアーVol.14』
StreamPass/FanStreamにて12月12日23:59までアーカイブ配信中
チケットの販売期間は12月12日21:00まで

THE BACK HORN 公式HP

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