定番クリスマスソングが複数チャートイン ストリーミング時代が可能にした旧作の再燃を考える

参照:https://spotifycharts.com/regional/global/weekly/latest

 Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第11回となる今回は、12月2日公開(11月25日~12月1日集計)のチャートを見つつ、ストリーミング時代と定番クリスマスソングのチャートインについて考えたい。

17歳のシンガーソングライター ゲイル「abcdefu」17位から4位にランクアップ

 1位は先週に引き続きアデルの「Easy On Me」がランクイン。先週は5位であったリル・ナズ・Xの「INDUSTRY BABY」が、3位に再度ランクアップ。今年の8月にメジャーデビューをした17歳のシンガーソングライター・ゲイルの「abcdefu」が17位から4位に大幅アップし、今後の活動に期待が集まる。また、今年もマライア・キャリーの「All I Want for Christmas is You」が9位、Wham!の「Last Christmas」が14位にランクイン。これら往年のクリスマスソングは、今後2週間でさらに順位を上げることが予想される。

GAYLE - abcdefu (Official Music Video)

Måneskin、CKayも 新作以上に旧作が聴かれる事例

 ストリーミングが主流になり、過去の作品がチャートインする事例が増えている。この連載でも以前紹介したMåneskinは、2021年に『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』で優勝したことをきっかけに、4年前にリリースした「Beggin'」がバイラルヒット。また、ナイジェリアのアーティストCKayが2019年にリリースした「love nwantiti (ah ah ah)」も、リリースから2年が経った2021年に、TikTokがきっかけでバイラルヒットを記録。気軽に聴くことができるストリーミング時代ならではの旧作がヒットする事例が見えてくる。

Måneskin - Beggin’ (Official Video)
CKAY - LOVE NWANTINTI | OFFICIAL AUDIO

 MåneskinやCKayは、どちらも近年の事例であるが、ストリーミングサービスはさらに過去の楽曲に再度火をつけている。マーケティング コンサルタント「Nielsen」のデータによると、2015年には、リリースされてから18カ月以上が経っている旧作の売上が、新作の売上を超えた。(※1)

 大手レコード会社<BMG>のストリーミング収益データも興味深い。2020年の前期におけるストリーミング収益は、前年比で26%増加しているが、そのなかでも3年以上前にリリースされた曲の収益増が49%となっている(※2)。新作の収益よりも、旧作の収益の方が成長率も高いのだ。ストリーミングサービスの台頭によって、新作以上に聴かれるようになってきている。

 このようにストリーミング時代における過去作品は、新作に比べて広告費やアーティスト開発費もかからない上に、大きなイベントや、SNSでの話題によって、再度爆発的に広まる。毎年必ず行われる、世界的なイベントと言えばクリスマスがあるが、今年も様々なチャートに往年のクリスマスソングがランクインしている。

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