ROTH BART BARON、AAAMYYY、DYGLらがSTUDIO COASTに集結 『SWEET LOVE SHOWER』スピンオフイベント

 DJに続きサウンドチェックを終えたSTUTSは「始まるまで時間があるので適当にセッションします」とドラム、サックス、キーボードと共にセッション。ステージ前の短いリハやその後の時間に何かが起きるのがフェスの醍醐味のひとつだ。久しぶりに味わうフェス感に気持ちを高揚させたオーディエンスも多いだろう。本編は「Renaissance Beat」で開幕。STUTSの軽やかなMPCさばきが牽引し、各楽器の短いソロを挟みながら盛り上げていく。「Conflicted」は優美なピアノと低音が響くビート、上品なサックスが絡み合う。STUTSが奏でることで生命が宿る無機質な音色とピアノ、サックスとドラムという生音が混ざり、グルーヴを生みだしていく。

 Alfred Beach Sandalこと北里彰久を呼び込むと、ツインボーカルで「Daylight Avenue」を披露。2人が出会ったという思い出の地でもあるコーストで「一緒にやった曲を」と「Sail Away」を演奏した。STUTS1人で披露したのは「Presence」。様々なアーティストとフィーチャリングして曲を作るSTUTSは、自在な編成で多くのアーティストの息吹を感じるステージを作りあげる。再びバンドを迎え「夜を使いはたして」でオーディエンスを巻き込み幸福感に満ち溢れたHIP HOPを見せると、最後に演奏したのは「Seasons Pass」。ピアノと息の合ったリズムを構築し、フルートが彩り歌声を聴かせると、オーディエンスが拳をあげ手拍子で応えた。

 トリはGEZAN。転換の間粛々と行われた岡田拓郎のDJはアンビエント系の選曲。来たるときに向け静かに時間が流れる。

 オープニング映像が流れると一足先にステージに姿を現した石原ロスカル(Dr)のドラムでメンバーが入場。イーグル・タカ(Gt)はバグパイプで叫ぶような音を出し、うなるようにヤクモア(Ba)のベースが奏でられる。マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo/Gt)の刺すようなボーカルがおどろおどろしさも感じる生々しさで響く。和太鼓のようなドラムの音色が勇ましい「Soul Material」から、ハットを中心としたシンプルなビートで時折すさまじいパワーのギターとベースが加わる「誅犬」。様々な声を組み合わせ、歪んだギターと共に言葉を連ねていき、「おめーらの曲だ」と「東京」に続いた。……のだが、実際はいつのまにか「東京」が終わっていたという感覚である。各楽曲の音がミックスされ突き進んでいき、飲み込まれていたら「東京」の〈インターネットが神さまのかわりをして誰を救ったの?〉〈新しい暴力を何でもって乗り越えよう?〉という歌詞に殴られているようだった。

 時が流れるのも忘れるような轟音と熱狂。バラードの「END ROLL」ではマヒトの歌声が目立つシンプルな構成で演奏された。そしてあっという間にラストナンバー「DNA」へ。音に身体をゆらし、叫び、跪き、〈今君の目が見ているのは 人が少しづつ壊れていく所〉と切り裂くように歌った。

 鳴りやまない拍手に応え再登場したGEZAN。「本当に大変な時代に生きていて、そういうときはサヨナラもつきものなんですけど」とコーストとの別れを惜しんだ。「優しい言葉が優しく届かない。殴ってもらった方が気が楽」と語ったマヒトの言葉に、殴られるような衝撃がある歌詞と音はある意味での優しさなのだろうと腑に落ちる。ギターの轟音が鳴り響く「wasted youth」でアンコールに応えると、圧巻のステージとギャップのある「よいお年を!」という言葉を残し、ステージを去った。

■オンエア情報
番組名:『SWEET LOVE SHOWER 2021 ~Bay Area~』
放送日時:1月22日(土)25:00~26:00

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